航空機部品ブラケットの加工で生産性を向上させ、部品1個あたりのコストを削減するVGMエンドミル
Allied Tool & Die Co.は、1951年にアメリカ アリゾナ州フェニックスで創立され、世界中の航空宇宙、医療、通信、商工業向けの高品質な部品製造を専門とする家族経営の会社です。 創業から70 年、アリゾナ州フェニックスにある同社は、複数の施設と敷地面積約32,000 平方フィートの製造スペースを備える製造会社にまで成長しました。
Allied Tool & Die社が最近直面した課題の1つに、インコネル718の航空機部品ブラケットの加工があります。多くの製造会社と同様に、インコネル718の機械加工には加工時間が長いこと、さらに材料の特性である高強度と耐熱性により、工具寿命の短くなることが課題として挙げられます。 生産性の向上を求めて、生産技術・機械加工マネージャーJamie Lerma 氏は、新しいソリューションについてオーエスジー担当者に相談しました。Lerma 氏は以前、HY-PRO® CARB VGMエンドミル(HY-PRO®はOSG USA, Inc.の登録商標です)を使用して13-8ステンレス鋼(析出硬化型ステンレス鋼)の高能率加工を実現しました。

13-8ステンレス鋼で作られた部品の CAD / CAMモデル。画像提供:Allied Tool & Die社。

HY-PRO® CARB VGMエンドミルで加工された 13-8ステンレス鋼の部品。
VGMエンドミルは、不等分割溝仕様の高性能なエンドミルです。不等分割溝はびびり振動を抑制し、また独自の溝形状により低抵抗加工の実現と安定加工が可能です。オーエスジー独自の多層EXOコーティングを施すことで、耐摩耗性と耐熱性が向上し長寿命化を実現します。VGMエンドミルは、5、6、7枚刃仕様で、加工に合わせた刃長とスクエア・ラジアス形状の2タイプを取り揃えています。適用被削材は、炭素鋼、合金鋼、ダイス鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、Ni基合金、チタン合金および45 HRCまでの調質鋼です。

オーエスジーの HY-PRO® CARB VGMエンドミルは、不等分割溝仕様の高性能なエンドミルです。VGMエンドミルは、5、6、7枚刃仕様で、加工に合わせた刃長とスクエア・ラジアスタイプを取り揃えています。適用被削材は、炭素鋼、合金鋼、ダイス鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、ニッケル基合金、チタン合金および45 HRCまでの調質鋼です。
13-8ステンレス鋼の加工では、従来の工具寿命がワーク加工数7個に対して、VGMエンドミルは21個と3倍の耐久性を得ることができました。加工時間は従来の1/2に短縮することができ、工具単価も他社と比較し低く抑えられています。 Lerma氏は VGMエンドミルの性能にとても満足し、インコネル718の航空機部品ブラケットの加工に試用することにしました。

インコネル718の航空機部品ブラケットの CAD / CAMモデル。画像は Allied Tool & Die社 提供。

HY-PRO® CARB VGMエンドミルで加工されたインコネル718 の航空機部品ブラケット。
Allied Tool & Die社は、本加工にインデキサブルタイプ高送りカッタを使用していましたが、インサートの費用や交換に費やされる時間により、コスト低減に大きな効果は得られていませんでした。従来の切削条件は、150 SFM (45.7m/min)、0.009” IPT (0.23mm/t)、Aa=0.05”(ap =1.27mm)およびAr =0.75”(ae =19.05mm) です。選定したVGMエンドミルの仕様は、直径0.5”(φ12.7)、刃長1.25”(31.75 mm) 、コーナR0.030”(0.762 mm) 、5枚刃のエンドミルです(EDP No VGM5-0143)。このエンドミルが使用できるように加工プログラムを変更し、合わせて切削条件も250 SFT (76.2mm/min、1,911min-1)、0.0022 IPT (0.056 mm/t、534 mm/min)、Aa= 0.75”(ap=19.05mm)およびAr=0.035”(ae=0.889mm) に変更しました。その結果、サイクルタイムは4時間からわずか1時間45分に短縮されました。また、一つの部品を加工するのに、従来4回行っていたインサートの交換とそれにともなう機械停止がなくなり、連続加工が可能になりました。加工能率の改善に関してAllied Tool & Die社は、VGMエンドミルを採用したことで、インコネル718の航空機部品ブラケットにおける$6,875のコスト低減と、部品あたりの工具コストを約$100削減することができました。さらに同社は、VGMエンドミルを使用することで、インコネル718を250 SFT (76.2 m/min)という驚異的な切削速度で加工することが可能になりました。これは、HRSA材料(耐熱合金)ではなく、一般的な合金またはステンレス鋼で設定される切削速度です。
この結果により、CNCプログラマーであるJohn Hernandez氏は、ほとんどの加工にVGMエンドミルを採用することにしました。VGMエンドミルは、一般的な炭素鋼から航空宇宙産業で使用されるNi基合金まで、非常に幅広い被削材に対応します。

左から、Allied Tool & Die社生産技術・機械加工マネージャーJamie Lerma氏、オペレータ David Dao氏、CNCプログラマーJohn Hernandez氏。
「このVGMエンドミルのおかげで、私たちは非常に多くの時間を節約できました」と、Allied Tool & Die 社生産技術・機械加工マネージャーJamie Lerma氏は述べています。
オーエスジーのVGMエンドミルシリーズと Allied Tool & Die社の詳細情報
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