Xパフォーマー転造タップOIL-S-XPFにより、ピストン付シリンダーの製造において切りくずトラブルのない安定的なねじ立て加工を実現
Mark Coryea | OSG USA
1つの部品を製造する時間がたった数秒短縮できたとしても大したことはないとお考えかもしれません。しかし、年間100万個以上の部品を製造しているのであれば、とても大きな成果につながります。1つの部品の製造時間が10秒短縮でき、不良率を低く抑え、組立仕上げ時間を短縮でき、その上で工具の寿命を3倍にも延ばせたなら、計り知れない成果が期待できることでしょう。米国インディアナ州フォートウェインを拠点として部品加工から組立までを一手に引き受けるFlickinger Industries社では、これらのことを実現しました。
Flickinger Industries社は1960年にフォートウェインで創業し、主にポンプや空気圧・油圧シリンダの業界に向けて製品を提供してきました。現在、45名の正社員を擁し、これらの業界をリードしながらも、農業、自動車、医療の分野にも製品を提供しています。長年にわたり、Flickinger Industries社の従業員は時代の変化に即応する能力を培ってきました。今では、小ロット部品の加工は専門分野の一つとなっています。Flickinger Industries社は面積75,000平方フィートを誇る施設に23台の最新CNC旋盤と立形マシニングセンタ CAT40を保有しており、2個から20万個のロットまで幅広く対応します。
Flickinger Industries社の大口顧客の一つに、動作制御技術で有名なグローバル企業があります。同社は、直径1/2”から3”までのアルミニウム製エアシリンダを製造しており、通常2,000個から5,000個のロットで年間100万個以上のピストンを生産しています。この部品はアルミニウム合金(T356)製の棒材から作られ、各ピストンの中央にはねじ穴が存在します。ねじ部には、組み立てに支障をきたすような汚れやバリのないことが求められます。中央の穴へのねじ立ては、工具は回転せずワーク回転での加工となるためトラブル発生の可能性が高くなります。Flickinger Industries社は長年にわたり他社の切削タップを使用しており、アルミニウム合金の加工では切りくずが伸びやすいため、切りくずによる定期的なタップの折損は仕方のないことだと考えていました。2019年の初頭、タップの折損により旋盤のタレットが損傷し、長期のダウンタイムと修理費用が発生しました。こうして私は代理店のスタッフと共にFlickinger Industries社を訪問することになり、切りくずにより生じる課題について協議しました。当時使用されていた工具は、他社製のねじ等級2Bでノンコート、特殊な食付き長さの5/16-24UNFスパイラルタップでした。私はFlickinger Industries社にオーエスジーのXパフォーマー転造タップXPFを紹介しました。また、転造タップを使用することで切りくずにより生じる課題がどのように解決するのかを具体的に説明しました。同社は転造タップの存在は知っていたようですが、切りくず排出によるトラブルの解決に役立つとは考えてもいなかったようです。

転造タップは、被削材を塑性変形することでねじ山を形成するため切りくずが発生しません。従って、切りくず排出に関するトラブルを回避できます。XPFはオーエスジーが開発した高性能な転造タップで、切りくずを発生させず35 HRCの高硬度材にも対応できます。低トルクを実現する特殊設計により高速加工と長寿命化を実現し、かつVコーティングにより耐摩耗性も優れています。XPFはオイルホール付きと無しがあり、標準形状とロングシャンク形状が用意されています。

加工状況について詳細な調査を行った後、私はOSG USAの有償サンプルとしてOIL-S-XPFの提供を申し出ました。XPFは、他社に対抗するための最も強力な武器の一つとなっています。様々な材料の加工において、XPFは有名なメーカのあらゆる製品に対して優れた性能を示してきました。Flickinger Industries社ではDMG森精機株式会社製のSL旋盤にWSOエマルション(12%)を使用しています。予想通り、この試験は成功しました。最初の10分で、オペレータは「従来のタップの2倍の速さですね!」と驚きの声を上げました。
他社の切削タップでは、部品1つにつき加工時間20秒ほどでしたが、XPFではわずか10秒でした。有効径とねじ山の仕上げ面状態の抜き取り検査では、全数合格しました。以前に使用していた他社のタップの平均寿命は、部品3,000個程度でしたが、XPFはこの寿命を優に超える結果となりました。Flickinger Industries社の工場長Tom Schroederは、「もはや、これほどまでに加工時間を短縮できる工具はXPFをおいて他にありません」と語っています。
初回のトライアルタップだけで、ねじ山の磨耗なく部品14,000個以上も加工することができました。2回目も、初回と同様の成果を出すことができました。するとFlickinger Industries社は、「オーエスジーはねじ山サイズ1/2”-20UNFと7/16”-20UNFのXPFを製作しているのでしょうか?」という次なる問いを投げかけました。私は「もちろんです!」と回答しました。

OIL-S-XPFの工具寿命は現在、部品10,000個相当を基準としていますが、これ以上の数量にも対応できることが試験によって裏付けられています。さらに部品1個あたりにかかるコストが従来の$0.017から$0.006までに抑えられているため、1年間で$37,775ものコストダウンにつながっています。今日、Flickinger Industries社でアルミニウム合金製ピストンの製作においてオーエスジーのXPFシリーズが使用されていることに私は誇りを持っています。オーエスジーのXPFを採用することで、切りくずに関する課題を解消し、折損の可能性を抑え、未然に機械の損傷を回避し、性能を最大限に発揮させることが可能となっています。
オーエスジーのXパフォーマー転造タップXPFの詳細をご覧ください。
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