A-SFT-AL

アルミ合金用スパイラルタップ

はじめに

軽量でありながら高い強度を持つアルミニウム合金は、成長を続ける「航空宇宙」産業をはじめ、「半導体」や「ロボット」産業など、今後の拡大が期待される分野に欠かせない材料のひとつです。

アルミニウム合金は被削性に優れ、比較的加工のしやすい材料として知られています。しかし、タップ加工においては、切りくずが伸びやすいため、タップに絡みつくことで安定加工と生産性向上を妨げる要因となることがあります。

こうした課題に応えるため、安定したねじ加工と高い生産性を実現するアルミ合金用スパイラルタップA-SFT-ALを開発しました。A-SFT-ALはM2~M12のサイズに対応し、食付き長さ2.5山と1.5山の全16アイテムをラインナップし、2026年7月に発売を開始しました。

アルミニウム合金加工のトラブル

アルミニウム合金は「鋳造材」と「展伸材」に大別されます。切りくずが細かく分断される鋳造材に対して、展伸材は切りくずが伸びやすく、次のようなトラブルを引き起こすことがあります。

A5000・A6000系

展伸材に分類されるA5000・A6000系は、排出される切りくずはカールが大きく、タップに絡まりやすい傾向があります(図1)。絡みついた切りくずは、ワーク上面のこすれ傷を発生させる原因となります。これを防ぐには、切りくずを除去するため、機械停止が必要となる場合があります。

さらに、展伸材は延性に優れるため、タップ逆転時に切りくずが圧着し、通り側ねじプラグゲージで不合格となることがあります。

A2000・7000系

鋼と同等の強度を持つ展伸材のA2000・7000系は、アルミニウム合金であってもタップの折損が問題となることがあります。折損したタップが除去できたとしても、加工されためねじ山形は崩れてしまい、ねじとして合格することはありません(図2)。

これらのアルミニウム合金のタップ加工の課題を解決するために開発したのが、アルミ合金用スパイラルタップA-SFT-ALです。

A-SFT-ALの特長

A-SFT-ALの特長を紹介します。

高い剛性と広いチップポケットを両立した溝形状

A-SFT-ALは「高い剛性」と「広いチップポケット」の両立した溝形状を開発し、優れた切りくず排出性により安定した加工を実現します。広いチップポケットは切りくず排出性の向上だけでなく、切りくずの圧着防止にも有効です。

また、従来の設計思想にとらわれない特殊な溝フォームを採用しており、2溝でありながら3溝と同等の心厚を確保し、高い剛性を実現しています。

さらにチップポケットは、従来品と比較して、2溝で約20%、3溝で約80%(M8×1.25の場合)拡大しています(表1)。

切りくず圧着の仕組み

タップの食付き部には逃げが設けられており、めねじとヒールの間には隙間があります。ランド幅が広くなるほど、この隙間は大きくなります。

タップが逆回転した際、この隙間に切りくずが入り込むことで切りくずの圧着が発生し、通り側ねじプラグゲージが不合格となる要因になります(図3)。

A-SFT-ALは2溝でありながら3溝と同等のランド幅としています。従来の2溝タップと比較してランド幅を抑えることができ、隙間を小さくすることで切りくずが入り込みにくくなっています。

最適化されたシャンク長

最適化されたシャンク長は、排出される切りくずがタップホルダに衝突するのを防ぎ、切りくずの絡みつきを抑制します(図4)。

また、タップホルダとワーク上面との間に適切なスペースを確保することができ、切削油剤を切れ刃に安定して供給することが可能になります(図5)。これにより、アルミニウム合金の加工において問題となる切れ刃に対する溶着を抑制する効果も得られます。

加工事例

A-SFT-ALの加工事例を紹介します。

横形マシニングセンタでの加工

切りくずが絡まりやすい横形マシニングセンタの加工においても絡みつきが少なく、連続加工を可能にします。

A7075の加工

アルミニウム合金の中で最も高い強度を誇るA7075においても安定した加工が可能です。

ADC12(鋳造材)の加工

自動車部品で多く使われる鋳造材においても安定した加工が可能です。

フローティング式タップホルダ

最後に

A-SFT-ALは、アルミニウム合金の加工で困っているお客様に効果を実感していただけるタップです。

・機械停止回数の削減

・人の手による切りくず除去作業の削減

・「切りくずによるこすれ傷」や「切りくずの圧着」による不良の削減

これらの効果に貢献するタップとしてぜひお試しください。

A-SFT-ALの詳細