新旧設備が混在する加工ラインおいて、オーエスジー製タップとSynchroMasterを組み合わせたソリューションがねじ加工の安定性を大幅に改善
Puhua Xu | 欧士机 (上海) 精密工具有限公司
ハブユニットは自動車の車軸とタイヤを接続する構造部品であり、車両走行を支える重要な役割を担っている。近年、市場競争が激しく、メーカのコスト管理がより厳格になり、加工に使用される切削工具にも、より高い性能と長寿命化が求められている。この課題は、中華人民共和国広東省佛山市に拠点を置く自動車部品メーカにおいても同様であった。
同社は2004年に設立され、約13,100平方メートルの近代的な生産設備を有し、従業員数は約400名である。車両重量を支え、走行安定性と安全性に直接影響を及ぼす重要な部品であるハブユニットの製造を専門としている。そのため、生産工程および加工精度の安定性に対して、極めて高い基準を維持している。また年間約240万個のハブユニットを生産し、中国内外の主要自動車メーカに供給している。
加工課題:高まるコスト要求の中で顕在化したタップ寿命のばらつき
ハブユニットを構成するS55C(高炭素鋼)製のハブ輪には、M12×1.25、公差域クラス6H、ねじ立て長さ13mm(通り穴)を4カ所加工する必要がある。同社はブラザー工業株式会社製の主軸BT30マシニングセンタを複数台保有しており、水溶性切削油剤を使用した外部給油方式でタップ加工を行っている。
同社は従来、中国国内メーカおよび他の日本製の4枚刃ポイントタップを使用していた。それらの切削条件は、切削速度30m/min、工具寿命は1本あたりの加工数が約450個(1,800穴)であった。しかし、生産ラインの違いにより工具寿命のばらつきがあり、これが生産性向上の障害となっていた。生産設備は新旧が混在しており、主軸の同期精度や剛性、動的安定性の差が加工状況に大きく影響し、タップ性能の大きなばらつきにつながっていた。

S55C(高炭素鋼)製のハブ輪には、M12×1.25、公差域クラス6H、ねじ立て長さ13mm(通り穴)を4カ所加工する必要がある。
タップの性能のばらつきが悪化するにつれて、生産性への影響は深刻化した。新しい設備でさえ設定基準の450個の加工が難しくなり、古い設備では切りくず詰まりやタップの折損が多発し、200~300個しか加工できず、突発的な機械停止の要因となっていた。納入先からのコストダウンの要求が高まる中、すべての設備で安定した長寿命化を実現することが急務となった。それは、工具コストの削減、機械停止時間の削減、そして設備総合効率(OEE)の向上に貢献することが必要不可欠であった。
オーエスジーの統合ソリューション:ハブ加工専用タップとタップホルダ
欧士机 (上海) 精密工具有限公司のエンジニアリングマネージャー古田悠二とテクニカルサポートエンジニア許普華を中心とする技術チームは、現地での加工確認と工程分析を実施した。他の加工で良好な結果が得られている実績も踏まえ、2つの要素を組み合わせたソリューションを提案した。

ハブ加工専用に設計されたVI‑HS‑RFTとタップホルダ SynchroMasterを組み合わせることで、新旧が混在する生産ラインにおいても安定したねじ加工を実現した。
1つ目は、ハブ加工専用に設計されたVI‑HS‑RFT M12×1.25(図T2415193)の提案である。最適化された溝形状と切れ刃仕様により、切りくず排出性の向上、ねじれ強度の強化をすることで高負荷加工に対応する。工具素材に粉末ハイスを採用し、耐摩耗性に優れたコーティングにより、耐折損性と耐摩耗性を両立した。オーエスジーの技術チームは、このタップを安定した長寿命化を実現するソリューションとして提案した。

タップホルダ SynchroMasterは、タップホルダが微小にフロートすることで工具に生じる負荷を軽減させる機構(ダンパ)を有し、タップの食付き時や逆転開始時に発生するスラスト方向の負荷を独自の一体構造ダンパが吸収することで、タップの性能を引き出し、より安定した加工を実現する。
2つ目は、タップホルダ SynchroMaster BT30‑SMH32‑120(ツールNo.79966)の提案である。このタップホルダは、微小にフロートすることで工具に生じる負荷を軽減させる機構(ダンパ)を有し、タップの食付き時や逆転開始時に発生するスラスト方向の負荷を吸収する。これにより、振動や衝撃を抑制し、タップ本来の性能を引き出して安定した加工を実現する。
これら2つの提案は、ハブ加工専用に設計されたタップと、タップに生じる負荷を軽減させる機構を有するホルダを組み合わせることで、設備の新旧を問わず発生していたタップ加工の不安定さに対する根本的な対策となることを目的とした。
導入効果:すべての設備でタップ寿命が安定し、耐久性は約2倍へと大幅に向上
導入後、最も古い設備を含むすべてのラインでタップの性能が大幅に改善した。タップ寿命は800~900個(3,200~3,600穴)へと安定し、設定基準の約2倍に達した。切りくず詰まりやタップの折損は見られず常に安定しており、公差域クラス6Hのねじ精度と良好なねじ面も実現した。工具交換の削減と作業者の手作業の減少により生産性は大幅に向上し、特に自動化ラインでその効果が顕著であった。
年間240万個の生産をする同社では、タップ性能のばらつきが解消されたことで、工具コストを大幅に削減できた。さらに、加工不良による手直しや品質問題、それに伴う納期リスクも回避できるようになった。
ユーザのコメントと今後の展望
「オーエスジーは単に優れたタップを提供しただけでなく、ホルダと設備のばらつきまで考慮した総合的な工程改善を提案し、生産工程全体の信頼性を高めてくれた」と、工程最適化を担当するマネージャーは述べた。
今回の取り組みは、オーエスジーがユーザの課題に対し、用途や現場に合わせた技術提案と包括的な製造支援を実践していることを示している。両社は、他のねじサイズや加工工程へ協業範囲を拡大し、自動車部品製造における生産性向上・高精度化・高品質な生産体制の構築に向けて連携をさらに深めていく。
激しい競争が続く現在の自動車業界では、わずかな精度差、サイクルタイムの1秒、そして1円が重要になる。オーエスジーは高い技術力と迅速な対応を通じて、切削工具が単なる消耗品ではなく、モノづくりを底上げする原動力であることを証明し続けている。
オーエスジーのタップ製品、タップホルダ、ならびに欧士机 (上海) 精密工具有限公司に関する詳細

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