共に進化するものづくり

継続的サポートが実現した、Bifrangi GmbHオーストリア工場での生産性と安定性向上

近年、製造業をとりまく環境は急速に変化しており、長期的な成功には技術的な競争力だけでなく企業間の強固なパートナーシップが欠かせません。オーエスジーとBifrangi GmbH Austria(以下Bifrangi社オーストリア工場)の協業は、大きな成功事例の一つです。同社はオーエスジーと課題を共有し、オーエスジーからの継続的な技術サポートと高度な工具技術を活かした改善提案により、複雑な課題を「効率、安定性、品質の向上」 という明確な成果につなげました。

Bifrangi GmbHオーストリア工場について

オーストリア・ケルンテン州アルトホーフェンにあるBifrangi社オーストリア工場が最も重視しているのは、常に高い品質と安全性を両立しながら競争力を維持し続けることです。同社は19世紀にイタリア北部でも特に活気のある工業地帯のひとつであるヴェネト州の丘陵地帯に位置するムッソレンテで創業しました。Francesco Biasion氏により設立されたBifrangi社は、小さな手工業から高度な技術力を持つ先進的な製造会社へ成長しました。

Bifrangi社の事業の中心は常に熱間鍛造です。同社は長年にわたりその技術力を高め、自動車、農業機械、建設機械などの足回り部品であるフランジやパイプ継手など幅広い産業用部品の多岐にわたり事業を広げてきました。

2014年に操業を開始した現代的なオーストリア工場は、敷地面積1万平方メートルの生産工場に加え、地下に5,000平方メートルの切りくず処理施設を備えています。この工場では約70名の従業員が働いています。Bifrangi社は、省エネ対策や環境配慮、そして継続した高い品質への取り組みにより、ヨーロッパおよびアメリカの大手メーカから信頼されるパートナーとなりました。同社全体で、0.3〜150 kgまでの2,000種類以上の製品を製造しており、毎日数千点の機械部品を世界各地へ出荷しています。現在、Bifrangi社オーストリア工場では、最新鋭の設備で鍛造から機械加工、仕上げ加工までの全工程を一貫して行われています。

協業による改善の実現

Bifrangi社オーストリア工場は生産量の多い2種類の炭素鋼を素材とするホイールハブの加工において、生産性向上のため、タップ加工の安定化と長寿命化、そして切りくず処理の改善を目指していました。同社の技術チームとオーエスジーの技術者が緊密に連携した結果、オーエスジー製VI-HS-POTを導入することで、これらすべての目標において大きな成果を上げることができました。

アプリケーション 1C50JIS S50C相当)製ホイールハブ加工

最初に取り組んだ製品は、生産量が最も多いC50製ホイールハブです。この部品は、1日3交代制(各8時間)で連続加工され、年間約120万個が生産されています。部品には、M12×1.5ねじ立て長さ14 mm(通り)の加工が4カ所あります。新たな環境規制への対応に伴い材料が変更された結果、タップ加工で切りくず排出が悪化し、加工の安定性とタップの耐久性が確保できない状況となっていました。

これらの課題に対し、オーエスジーは高強度な被削材や過酷な生産サイクルに対応可能な特殊品VI‑HS‑POT(図T2511948)を提案しました。このタップは導入直後から効果を発揮しました。工具寿命は1,600穴から2,400穴へと向上し、従来比約50%改善しました。切りくず排出トラブルは解決し、ねじ面の品位も向上しました。その結果、突発的な機械停止がなくなり、生産性は向上しました。切削条件は切削速度20m/min(530min-1)、送り速度795mm/min、下穴径は10.5mmに設定されています。

アプリケーション 2C56(JIS S55C相当)製ホイールハブ加工

次に取り組んだ製品は、商用車向けC56製ホイールハブです。2016年から5万個単位で年間約25万個を生産しています。この部品には、M14×1.5ねじ立て長さ16 mm(通り)の加工が5カ所あります。この製品は2つのラインで生産されており、それぞれ異なる課題を抱えていました。1つのラインは、C50製ホイールハブ同様、材料変更によるタップ加工の不安定さでした。もう1つのラインはワーク保持の影響で切りくずが適切に排出されていないことでした。

これら2つのラインに対して、切りくず排出性と工具寿命改善のため、C50製ホイールハブ加工で性能が実証されたVI‑HS‑POT(図T2511153)を提案しました。

1つ目のラインはEMAG GmbH & Co. KG社製の立形CNC旋盤 VL 4で加工しています。切削条件は、正転時が切削速度25m/min(570min-1)、送り速度855mm/min、逆転時が切削速度50m/min(1,140min-1)、送り速度1,710mm/min、下穴径は12.5mmに設定されています。VI-HS-POTの工具寿命は、1,500穴から3,075穴へと大幅に向上し、従来比105%の改善となりました。

もう1つのラインは、 VIGEL S.P.A社製工作機械で加工しています。切削条件は、正転時が切削速度30m/min(680min-1)、送り速度1,020mm/min、逆転時が切削速度60m/min(1,360min-1)、送り速度2,040mm/min、下穴径は12.5mmに設定されています。切削条件を変更することなく大きな課題であった切りくず排出トラブルは完全に解消され、工具寿命も、2,125穴から2,530穴へと向上し、従来比約19%の改善となりました。

成果を支えたの力

今回のアプリケーションで得られた成果は、先進的な工具だけに支えられたものではなく、両社のパートナーシップで築かれた協力関係と信頼によって実現しました。Bifrangi本社とオーストリア工場は、オーエスジーのエリア担当Alberto Pasqualiを通じて情報を共有し、加工改善を効果的に進めることができました。さらにAlberto Pasqualiの加工改善への積極的な姿勢がBifrangi社オーナーRoberto Biasion氏や購買責任者Fabio Pegoraro氏との間に信頼関係を育み、単なる営業活動の枠を超えた協力体制へとつながりました。こうして築かれた信頼関係が、製造工程の改善と最適化に向けて、両社が長期的な取り組みを共有し、支え合う基盤になりました。

さらにOSG ItaliaのエンジニアリングマネージャーAndrea Severiが現場での技術サポートを提供し、切削条件の最適化から導入後のフォローまで行い、パートナーシップをさらに高めました。Andrea Severiのサポートにより、VI‑HS‑POTの有効性が検証され、Bifrangi社の生産現場へスムーズに導入されました。

信頼と成果で築かれたパートナーシップ

このアプリケーションは、強固な協力体制と革新的な工具があれば、生産現場における課題を改善の機会へと転換できることを示しています。2つのアプリケーションで採用されたVI‑HS‑POTは、材料や生産要件が変化する中でも、工具寿命、ねじ面の品位、加工の信頼性のすべてを向上させました。Bifrangi社とオーエスジーが築いたパートナーシップは、加工技術と知見、そして人と人とのつながりが、共通の目標に向かって力を合わせることで、長期的な相互利益につながる成功を生み出せることを示す、明確な事例となっています。

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