高性能油穴付き超硬ドリル
山本剛広 オーエスジー株式会社 デザインセンター ドリル開発チーム
Introduction
オーエスジーのAドリルの主力製品であるADOドリルに加えて、高性能油穴付き超硬ドリル「ADOX」を発売しました。ADOXは独自のオイルホール形状「MEGA COOLER」を採用することで、ドリルの性能をさらに引き上げるとともに、より幅広い加工に対応できる汎用性を実現しています。加えて、近年注目されている環境負荷の軽減にも貢献する性能(環境性能)を備えており、持続可能な加工現場にも貢献する製品となっています。
ADOXのサイズラインナップは以下の通りです。
- ADOX-3D/5D/8D:φ2~φ6
- ADOX-10D:φ2.4~φ6
- ADOX-15D/20D/25D/30D:φ2.3~φ6
Features and Benefits
ADOXはADOドリルの最大の特長であるR Gashに加え、新たに採用した油穴形状が大きな特長となっています。油穴の断面積を大きくし、工具先端から吐出される切削油剤の量を最大化することで、工具の耐久性と加工の安定性を向上し、高能率化を実現します。さらに、この油穴形状はR Gashの形状に合わせて最適化されており、R Gashの性能を最大限に活かすことができます。従来の汎用ドリルでは対応が難しかったステンレス鋼の加工も可能となり、1本の工具で幅広い被削材に対応できるため、工具集約が可能です。
また、ADOXに採用した「MEGA COOLER」により、低クーラント圧、油性切削油剤、小径サイズなどでも十分な切削油剤の吐出が得られ、安定した高性能を発揮します。以下にADOXの加工事例を紹介します。


Cutting Data
1. 小径、低クーラント圧でのステンレス鋼加工
一般的にφ3以下の小径では油穴径が小さくなるため、クーラント圧が低いと工具先端から十分な量が吐出されず、安定した長寿命が得られません。ADOXは低いクーラント圧でも十分な量の切削油剤を吐出することで、従来工具の3倍以上の耐久性を実現しました。

Figure 1. 低いクーラント圧で十分な吐出量が得られ長寿命
2. 油性切削油剤での加工
油性切削油剤は粘度が高いため、十分な切削油剤が吐出されない傾向があります。その結果、従来工具では、切りくずの排出がスムースに行えず、工具寿命に大きなばらつきが生じます。ADOXではこうした環境下でも安定した長寿命を得ることができます。

Figure 2. 高炭素クロム軸受鋼鋼材加工
3. クーラント圧低減による消費電力量削減と安定した工具性能
MEGA COOLERの効果は切削油剤の吐出量増加による性能向上だけではなく、低いクーラント圧でも、従来工具と同等の切削油剤吐出量が得られるため、切削加工においてもっとも消費電力の大きいクーラントポンプの消費電力量を大幅に削減することが可能です。
ADOXは低いクーラント圧でも、工具性能が低下することはありません。R Gashによる低抵抗・低振動の切削、切りくずの分断などの効果により、工具の長寿命化を実現します。これにより、ADOXは消費電力量を削減できるという環境性能も備えています。

Figure 3. クーラント圧の違いによる高圧クーラントポンプの消費電力量の比較
4. クーラント吐出量増加による高能率・長寿命化
クーラント圧がある程度高い環境下では、吐出量がさらに増加することで、刃先の冷却性、潤滑性、切りくずの排出性が向上します。その結果、従来工具よりも高い加工能率と長寿命を両立することができます。

Figure 4. 30Dの深穴加工も高能率で長寿命
Conclusion
ADOXは、ADOドリルの特長でもあるR Gashの性能をさらに高めるとともに、ステンレス鋼などの難削材にも対応できる汎用性があります。また、従来工具では性能を十分に発揮できなかった小径、低クーラント圧、油性切削油剤といった加工環境においても高い性能を発揮し、環境負荷の低減にも貢献する高性能油穴付き超硬ドリルです。
今後はADOXのさらなる展開に向けて、サイズ範囲の拡大や、30Dを超える製品開発を継続していきます。

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