高精度な歯科用小径工具のソリューション

先進的なワークフロー、戦略的パートナーシップ、専門的支援を通じて切り拓くスイスの歯科技工所の未来

ZM Solutions AG(以下、ZM Solutions社)は、スイスのベルンに本社を構える企業で、歯科技工士の技術をデジタル化する支援を行っています。2017年の設立以来、同社はデジタル技術を効率的に活用するための包括的な事業戦略を展開しており、歯科製品の販売に加え、高精度な3Dプリンタ技術や義歯・歯科補綴物(入れ歯、ブリッジ、クラウン、インプラントなど)の精密な切削加工も手掛けています。この切削加工には、オーエスジーの高精度な小径工具が使用されています。

スイスにおける歯科技工業界の変革への対応

スイスにおける歯科技工業界は、現在大きな変革期を迎えています。多くの歯科技工所は、AIなどの先端技術の進化、競争の激化、そして熟練した作業者の不足といった課題に直面しながら、収益性の向上と事業の持続的な発展を目指しています。業界分析によれば、サービス指向アーキテクチャ(SOA :必要な機能を部品のように分けて、それぞれをつなげて使う仕組み)とデジタル技術の導入が成功の鍵を握るとされています。デジタル化が進む中で、これまで重視されてきた品質、納期、柔軟性、信頼性に加え、個別対応の支援と専門的な指導の重要性が高まっています。このような変化に対応するためには、製品中心のビジネスモデルから、提供するサービスの幅を広げたサービス重視のビジネスモデルへと進化する必要があります。

小規模歯科技工所の格差を是正

ZM Solutions社のマネージングディレクターであるGeorg Orosz氏は次のように述べています。「日常業務のデジタル化は加速しているだけでなく、より複雑化しています。ソフトウェアシステムはユーザがより簡単に使えるように設計される一方で、機能はますます多様化しています。これらのシステムを効果的に活用するには、適切なトレーニングが必要です」

ハードウェアの進歩も、こうした複雑さをさらに深めています。歯科技工士の中心的な業務である患者ごとに合わせた義歯の製作自体は変わっていませんが、人口の高齢化や材料技術の進化により、新たな課題が発生しています。例えば、歯科補綴物に使用される酸化ジルコニウムは現在、審美性が求められる切縁(歯の先端)には透光性の高い素材を使用し、強度が必要な基底部(歯の根元に近い部分)には硬質な素材を使うなど、層ごとに特性が異なるように設計されています。これにより、機能性と審美性の両立が図られています。

これらの技術的進展により、切削加工技術の継続的な開発と技術者への定期的なトレーニングが求められています。スイスの大規模な歯科技工所では、こうした戦略を管理するために専任スタッフを雇用しています。一方、小規模な歯科技工所では、設備面だけではなく、専門家のサポートや戦略的パートナーシップへのアクセスの面で遅れをとることが少なくありません。

迅速で現実的なソリューションの提供

ZM Solutions社は、歯科技工所向けのデジタルワークフローに特化した専門企業としての地位を確立しています。同社のサービスは、データの転送と処理から、歯科補綴物の設計・製造に至るまで、デジタルプロセス全体を網羅しています。

「私たちは設計や製造にも取り組んでいますが、最も重視しているのはサポートです」とOrosz氏は述べています。

ZM Solutions社では、顧客への支援を効率的かつ迅速に行っています。すべての業務はオンラインで管理されており、サポートチケットが送信されると、30分以内に担当者が対応し、解決策または次のステップに関する案内を提供します。ほとんどの問い合わせは半日以内に解決されます。

この迅速なサポートは、ソフトウェアの提供と組み合わさることで、同社のサービス提供の中核を成しています。その他のサービスには、切削加工、3Dプリント、酸化ジルコニウムなどの材料の販売などが含まれます。

「3Dプリンタ本体の販売も行っており、業務全体の流れを統合的に支援しています」とOrosz氏は述べています。

各プリンタは、販売後のアフターサービスを万全に提供するために、最大4か月間にわたる徹底的なテストを受けています。

ネットワークの効率化と工具の連携

ベルンには9台の機械があります。6台の3Dプリンタで積層造形が行われ、残る3台の機械は切削加工専用です。切削加工においては、工具寿命とソフトウェアの互換性が重要な要素となります。

「実際の加工においては、単に工具をホルダに取り付けて、加工を始めればよい、というものではありません。切削条件などの技術的な設定については、お客様が悩まずに使えるようにしたいのです」とOrosz氏は述べています。

ZM Solutions社は、機械、ソフトウェア、工具メーカとのネットワークを通じて、こうしたニーズに対応しています。最近では、オーエスジーとの共同開発によるデジタルインプラント治療プロジェクトがこのアプローチの好例です。

Orosz氏は次のように述べています。「まず設計段階から始め、次にルートポスト(歯の根(歯根)に挿入され被せ物の土台になるもの)の切削を行いました。精度が非常に重要です。過剰な切削はピン(歯根に挿入される支柱状の部品)に振動を引き起こす可能性があります。最初の工程から正確でなければなりません」。

オーエスジーは高精度な工具を提供し、CAMメーカと連携して加工プロセスの改善に取り組みました。

「加工プロセスが確定した後、それをテストし、CAMメーカのパートナーとともにZM Solutions社に提案しました」と、オーエスジーの歯科・医療事業部門チームリーダの Jens Schöngarthは述べています。

高精度加工用工具

この協業の成功は、オーエスジーが提供する高精度な工具によるところが大きいといえます。

「当社のエンドミルは、±3〜5μmという非常に厳しい公差で製作されています。これにより高い輪郭精度が確保され、精密な嵌合が可能になります」とSchöngarthは述べました。

例えば、テレスコープ義歯(二重構造の冠を用いた入れ歯)では、セカンダリークラウン(取り外し可能な入れ歯部分に装着される外冠)がプライマリークラウン(残存する歯に装着される内冠と呼ばれる被せ物)に完全に適合する必要があります。ZM Solutions社は、これらのパーツをあらかじめ加工し、その後、2μm単位で再加工を行うことで、理想的な嵌合を実現しています。

「オーエスジーのエンドミルの性能は非常に優れています」とOrosz氏は語りました。

ドイツのゲッピンゲンにあるオーエスジーアカデミーの責任者であるMagnus Hoyerは、もう1つの重要な特長を強調しました。

Hoyerは次のように述べています。「オーエスジーは、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂の一種)の加工において、DLCコーティングが施された2枚刃のエンドミルを引き続き提案しています。DLCコーティングは平滑性に優れ、膜厚が非常に薄いため、刃先の鋭さを保ちつつ、工具寿命を延ばすことができます」

Hoyerは、ドイツの大手材料メーカ向けに開発された1枚刃の形状についても言及しました。これは、樹脂を高速加工する際に一般的に発生しやすい切削熱による溶着や切りくず詰まりを防ぐために設計されたものです。

オーエスジーは、加工中に径方向に発生するさまざまな切削抵抗に対応するため、強バックテーパの外周部ティアドロップ形状を採用した小径エンドミルを設計しました。これにより、外径部に平坦な接触点がなくなります。さらに、小径工具の中でも大きなサイズのボールエンドミルでは、ボール部中心から外周刃にかけてすくい角を調整することで、切削抵抗を低減しています。この技術は金型加工用のボールエンドミルで用いられ、現在では歯科分野にも応用され、良好な結果を示しています。

工具の精度、耐久性、性能:歯科用工具に求められる重要な要素

「歯科業界で使用される工具において、最も重要なのは、精度、耐久性、そして性能です」とHoyerは述べました。

工具の品質に加えて、加工工程、プログラミングなど加工戦略の専門家との連携も、さまざまな材料において最適な結果を得るために重要な役割を果たします。

例えば、ZM Solutions社は、純チタンおよびチタン合金の荒加工にオーエスジー製 WXS-CREシリーズ(5枚刃超硬ラジアスエンドミル)を使用しています。この工具は、被削材硬さ最大65HRCまでの高硬度材の加工が可能です。

「これらの工具は、ルートピン(歯の根の部分を保存し、義歯の維持や安定性を高めるために使用される金属製ピン)の荒加工に使用されています。製品形状に非常に近い形状まで加工できるのが大きなメリットです。また、純チタンおよびチタン合金の加工においても優れた加工精度を実現しており、これは歯科用工具としての用途、特に次工程において不可欠な性能です」とOrosz氏は述べています。

これらのエンドミルは、リテーナー(治療後の歯の並びを維持するための保定装置)の加工にも適しています。

「非常に細いピッチで加工されているため、安定性に関する問題は一切発生していません。装着精度も非常に優れています」とOrosz氏は付け加えました。

ZM Solutions社は、純チタンおよびチタン合金の中仕上げ・仕上げ加工に、オーエスジー製ボールエンドミルWXL-LN-EBDを採用しています。このエンドミルはロングネック仕様で、オーエスジー独自のWXLコーティングが施されており、これらの材料の加工に最適です。

歯科用工具のイノベーションを牽引:酸化ジルコニウムとPMMA材の次世代加工技術

Orosz氏は現在、酸化ジルコニウムと PMMA材の加工をテスト中です。

「すでにいくつかの加工方法を開発し、さまざまな加工戦略を評価しました」とOrosz氏は語りました。

酸化ジルコニウムの加工には、ダイヤモンドコーティングが施されたDG-LN-EBDシリーズの超硬ボールエンドミルが採用されました。

「切削加工後の加工面の品質は非常に優れており、焼結前にもかかわらず、研削されたかのように非常に良好な状態でした」とOrosz氏は語りました。

次に検討されているのは、PMMAの加工用エンドミルです。まもなくオーエスジーで専用設計したロングネックボールタイプのエンドミルが使用される予定です。

Orosz氏は「良い結果が得られると確信しています」と付け加えました。

Orosz氏は歯科技工所におけるデジタル化の複雑さを認識し、オーエスジーの支援を高く評価しています。

「オーエスジーと協業することで、工具に関するリソースと専門知識を集約でき、顧客に対して的確な情報と効果的なソリューションを直接提供できるパートナーを得ることができました」とOrosz氏は述べました。

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