微細・精密加工のための最適なソリューション
オーエスジーダイヤモンドツール株式会社 代表取締役 神谷伸顕
航空宇宙、自動車、エレクトロニクス、エネルギー、光学、医療など、多様な業界における微細・精密加工の分野で、厳しい精度が求められる高精度部品の需要が高まっています。この成長の大きな推進力となっているのは、性能、安全性、信頼性の向上を実現する高精度部品の需要の増加です。さまざまな分野で部品の小型化が進む中、コンパクトで高性能な部品は複雑な構造が求められ、より精密な機械加工が必要とされています。加えて、AIやIoTの活用により製造現場の高度な自動化によって生産性が向上し、不具合が最小限に抑えられ、複雑な作業が可能になっています。これらの技術革新は、近年の急速な市場拡大を大きく後押ししており、微細・精密加工分野のさらなる発展に寄与しています。

オーエスジーダイヤモンドツール株式会社の設立
株式会社日新ダイヤモンド(以下、日新ダイヤモンド社)は、微細・精密加工の分野における高精度化のニーズに応えるために、Contour Fine Tooling B.V.(以下、Contour社)をグループに迎え、さらにマイクロダイヤモンド株式会社(以下、マイクロダイヤモンド社)の事業を継承しました。そして、2024年12月1日にオーエスジーダイヤモンドツール株式会社(以下、オーエスジーダイヤモンドツール社)が設立されました。これら3社の独自の強みが、相互に補完し合い、相乗効果を生み出します。具体的には、Contour社は単結晶ダイヤモンド工具を専門とし、マイクロダイヤモンド社は独自技術を活かした極小径単結晶ボールエンドミルの製造に強みを持っています。両社は「超精密」加工分野において、高性能な工具を提供しています。一方、日新ダイヤモンド社は、天然ダイヤモンド、人工単結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド焼結体(PCD)、立方晶窒化ホウ素(PcBN)などを工具素材としたさまざまな切削工具を製造しています。これらの強みを結集したオーエスジーダイヤモンドツール社は、総合ダイヤモンド工具メーカとして、販売、製造、管理部門間の連携による相乗効果を活用し、精密切削工具ソリューションを世界中に提供することを目指しています。

図1. オーエスジーダイヤモンドツール社は、Contour社、マイクロダイヤモンド社、および日新ダイヤモンド社の3社がそれぞれ独自の専門技術で荒加工から超微細精密加工まで幅広い加工ニーズに応える総合ダイヤモンド工具メーカです。高度な設計力を活かし、試作開発から量産までを効率的に対応しています。

Contour Fine Tooling B.V.
Contour Fine Tooling B.V.(以下、Contour社)は、Precision Tools Holding B.V.の系列会社であり、オランダに本社を置く世界的な超精密ダイヤモンド切削工具専門メーカです。1982年に設立されたContour社は、超精密機械加工および電機械彫刻の分野において、革新性、精度、品質、価値の面で高い評価を受けています。

オランダのファルケンスワールトにあるContour社の本社と製造工場

2024年7月、オーエスジーはContour社を傘下に持つPrecision Tools Holding B.V.をグループに迎え入れました。これにより、オーエスジーは新たなユーザ層とダイヤモンド工具製造技術を獲得し、微細精密加工における存在感を一層高め、世界規模での成長を続けています。

左から、Contour社の単結晶ダイヤモンドインサート、単結晶ダイヤモンドバイト、単結晶ダイヤモンドフライカットインサート、単結晶ダイヤモンドボールエンドミル。
Contour社は、加工用途に最適化した工具仕様(刃先半径やすくい角など)を備えた天然および人工単結晶ダイヤモンド工具に加え、ダイヤモンド焼結体(PCD)工具も提供しています。製品ラインナップには、旋削用インサート、バイト工具、フライス工具、フライカットインサート、スタイラス、バリ取り工具、ダイヤモンドアンビルなどがあります。Contour社製の工具は、卓越した精度と長寿命を誇り、優れた加工品質を実現します。標準品に加えて、お客様の工作機械や加工工程、部品の要求精度に応じた最適な特殊品の製作も可能です。同社では、工具製作用の専用工作機械と優れた技術力を持つ110名の作業者と技術者が、産業界と学術界の顧客と協力しながら、ダイヤモンド工具の性能向上に継続的に取り組んでいます。

Contour社の工具は、主に光学産業において、コンタクトレンズ、レンズ金型、光学部品などの加工に使用されます。
Contour社の工具は、主に光学および印刷業界で採用されています。眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、電子部品のレンズ型(携帯電話のレンズなど)、感光体ドラム、赤外線、レーザ光学系、ミラーなどその他さまざまな光学アプリケーションの製造に使用されています。

東京都八王子市にあるContour社の日本拠点であるコンツール ファイン ツーリング株式会社のスタッフ。

単結晶ダイヤモンドバイトの生産の様子。

コンツール ファイン ツーリング株式会社の生産工場で同僚と工具を見ながら打ち合わせを行う製造リーダ赤嶺亮氏。
Contour社の本社はオランダのファルケンスワールトにあり、グローバルに事業を展開しています。EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、南北アメリカ、アジアの各地域において、製品情報の提供、技術指導、技術スタッフによる訪問支援を行っています。また、ベルギー、イギリス、オランダ、ブラジル、日本、中国、米国など、複数の国に再研磨工場があり、世界中のお客様のニーズに対応しています。

マイクロダイヤモンド株式会社
マイクロダイヤモンド株式会社(以下、マイクロダイヤモンド社)は、2000年に神奈川県横浜市に設立されました。同社は、単結晶ダイヤモンドとバインダーレスCBNを用いた超微細で精密かつ高品質なマイクロツールの研究、開発、製造、販売を専門としています。

アキュスクエアによるアルミニウム合金の鏡面仕上げ加工。アキュシリーズは、超精密加工に適した製品ラインナップであり、自動車用ヘッドアップディスプレイ金型、PESレンズ金型、マイクロレンズアレイ、回折格子などの加工に幅広く使用されています。
2024年10月、マイクロダイヤモンド社の事業は、オーエスジーのグループ会社である日新ダイヤモンド社に引き継がれました。オーエスジーは、マイクロダイヤモンド社の独自技術である極小径単結晶ダイヤモンドボールエンドミルを活用し、ダイヤモンド工具市場における微細精密加工分野での製品提供をさらに進化させることを目指しています。

左から、アキュボールにより鏡面仕上げ加工が施されたアルミニウム合金、真鍮、銅合金。
マイクロダイヤモンド社は、極小径単結晶ダイヤモンドボールエンドミルを製造する独自の技術を持つ世界で唯一のメーカとして知られています。この工具は、微細・精密加工のアプリケーションにおいて高い精度を実現するために欠かせない存在です。さらに、バインダーレスCBN製の超精密工具は、従来工具と比較して2倍以上の耐久性があり、サブナノメートルレベルの仕上げ面精度を実現します。工具仕様として最小コーナR 5μmという極めて小さな設定が可能なラジアスエンドミルも提供しています。

左から、1,000倍に拡大されたアキュボール(ボール半径R0.1)とアキュスクエア(外径φ0.1)のすくい面の状態。
マイクロダイヤモンド社の工具は、主に光学部品(カメラ、スマートフォン、光ディスク用レンズなど)の製造や微細金型、電子機器、医療機器の精密部品の加工など、高精度かつマイクロレベルの加工を必要とする業界で使用されています。

オーエスジーダイヤモンドツール社のマイクロダイヤモンドブランドを担当する生産チーム。神奈川県小田原市にある製造工場にて。

株式会社日新ダイヤモンド
株式会社日新ダイヤモンド(以下、日新ダイヤモンド社)は、滋賀県高島市に本社を置く切削工具メーカです。1968年の創業以来、同社はダイヤモンド切削工具の開発、製造、販売に取り組んでいます。天然ダイヤモンド、人工単結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド焼結体(PCD)、立方晶窒化ホウ素(PcBN)などの工具素材を用いた切削工具の製造・販売を専門としています。

滋賀県高島市にあるオーエスジーダイヤモンドツール社の本社および製造工場。

日新ダイヤモンド社の製品は、IT、家電、建設機械、自動車、航空宇宙、医療機器など、幅広い業界で使用されています。私たちの日常生活に欠かせない多くの製品が、同社の工具によって加工されています。

オーエスジーダイヤモンドツール株式会社 代表取締役 神谷伸顕
2006年9月、日新ダイヤモンド社はオーエスジーのグループ会社に加わりました。そして2024年12月には、社名を「オーエスジーダイヤモンドツール株式会社(以下、オーエスジーダイヤモンドツール社)」へと変更しました。オーエスジーダイヤモンドツール社は、日本最大の淡水湖である琵琶湖の北西部に位置する高島市に本社と饗庭工場を構え、現在の従業員数は59名です。

N-BRANDシリーズ
「Nブランド」シリーズは、日新ダイヤモンド社がオーエスジーダイヤモンドツール株式会社へ社名変更する以前に開発された重要なダイヤモンド工具の製品ラインナップです。このシリーズは、特定の用途向けに特殊製作していた工具を、必要な時にいつでも使用できるように標準化したものであり、同社の主要な取り組みのひとつです。オーエスジーダイヤモンドツール社は、「Nブランド」シリーズのラインナップ拡充に積極的に取り組んでおり、2023年10月の発売以来、多くのお客様から好評を得ています。このシリーズは、非鉄金属および樹脂の加工において、高精度かつ鏡面仕上げ加工を実現するために設計された工具です。その拡充は、同社のイノベーションへの取り組みと進化し続ける製造業のニーズに柔軟に対応する姿勢を示しています。

オーエスジーダイヤモンドツール社の「Nブランド」シリーズは、非鉄金属や樹脂の加工において、高精度かつ鏡面仕上げ加工をはじめ、お客様のニーズに合わせた多様な用途に対応する、標準化された高性能工具です。
The Diamond Basics
オーエスジーダイヤモンドツール社は、2025年夏に、世界中のダイヤモンド切削工具ユーザ向けに編集したカタログ「The Diamond Basics」を発表しました。このカタログは製品情報にとどまらず、ダイヤモンド切削工具に関わるすべての人に役立つ専門知識を網羅した、グローバルな技術資料でもあります。全100ページにわたる本カタログには、新製品17点を含む約28点の製品が掲載されています。日本語、英語、中国語の3言語に対応しており、同社のウェブサイトからダウンロード可能です。今後もこのカタログの内容をさらに充実させ、ダイヤモンド切削工具業界における主要な技術資料としての地位を確立することを目指しています。

「The Diamond Basics」は、世界中のダイヤモンド切削工具に関わる人々を対象とした、カタログ兼技術資料です。製品情報に加えて、ダイヤモンド工具に関する専門知識も幅広く紹介しています。
技術の進歩と用途の拡大により、微細・精密加工の分野は大きく成長しています。自動化、AIインテグレーション、持続可能な実践といったトレンドは、今後も進化し続けると考えられます。オーエスジーダイヤモンドツール社は、微細・超精密加工用単結晶ダイヤモンド工具の製造から販売までを一貫して行える体制を整えています。継続的なイノベーションと製品ラインナップの拡充を通じて、今後の経済発展に重要な役割を果たすことが期待されている微細・超精密加工の分野で、さらなる貢献を目指しています。

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