オーエスジーの転造技術が、UKのイングランド中部の工業都市シェフィールドにある構造用ボルト製造メーカをサポート
Hirozumi Kubo | OSG UK
転造加工とは、熱間鍛造とは異なり室温下で行われる冷間鍛造の一つで、転造ダイスを使用して金属材料を塑性変形する加工方法です。冷間鍛造は自動化された工程で、材料を切削することなく、高精度の金属部品を大量生産することができます。ファイバーフローが切断されないため、高い強度が得られ機械的特性が向上します。また、転造ダイスを押し当てて加工する転造加工は、より高い仕上げ面精度が得られます。
転造加工を含む冷間鍛造には、専用設備が必要なため高いイニシャルコストがかかります。しかし、二次加工を削減できリードタイムの短縮ができるため、トータルコストの削減が可能です。さらに、この生産方法は大量生産にも適しています。
冷間鍛造の主なメリットは以下の通りです。
- 高い生産性
- 大量生産
- 二次加工の削減
- 廃棄物の削減
- 省エネルギー
- 費用対効果の高さ
- 良好な仕上げ面粗さ
- 安定した寸法精度
- 大型ワークへの対応
- 高いカスタマイズ性
転造加工に適した金属は、鉄、アルミニウム合金、真鍮、銅合金、ステンレス鋼など、様々な材料があります。また生産される代表的な製品にはボルトのような小型部品がありますが、転造加工が含まれる冷間鍛造では、自動車パネルや平板のような大型部品まで幅広い製品の生産に利用されています。サイクルタイムが短く、省エネルギーで廃棄物が少ない冷間鍛造は、持続可能性の高い金属加工方法で、航空宇宙、自動車、農業、建設、エネルギー関連、鉄道など、多岐にわたる産業に対応します。
オーエスジーの転造加工ソリューション
オーエスジーは、1956年に転造ダイスの製造・販売を開始しました。現在では、転造丸ダイス、平ダイス、プラネタリダイス、ラック型転造ダイス、トリミングダイスなど、幅広い製品を取り揃えています。日本、アメリカ、メキシコ、ドイツ、中国、台湾、韓国、タイ、インドに生産拠点を置き、年間7万セット以上の転造工具を生産しています。

オーエスジーは、用途に応じた様々な転造ダイスを、優れた精度と工具寿命で製造しています。ご要望の仕様に合わせた転造ダイスの製作が可能です。
オーエスジーは、主力製品であるタップにおける高度な研削技術を駆使し、用途に応じた様々な転造ダイスを製造しており、それらは優れた精度と工具寿命を実現しています。またお客様の課題解決対応能力にも高い評価を得ています。
2019年、65年以上にわたりヨーロッパ市場において転造盤および転造工具を提供してきたドイツのEx-Cell-O Corporationをオーエスジーグループに迎えました。会社名をOSG EX-CELL-O GmbHに変更し、ラインナップを拡充することでヨーロッパにおける転造加工の市場に一層注力しています。同社は、インボリュートスプライン、ねじ、油溝、ローレットをはじめ、その他の類似形状における生産性の高い転造加工技術を提供しています。
オーエスジーグループは、様々な地域のお客様に最適な技術情報を提供するため、転造加工に関わる技術分析を積極的に取り組んでいます。豊富な製品ラインナップ、長年にわたり蓄積された技術力、そして広範囲にわたるグローバルサポートネットワークを通じて、進化する転造加工のニーズに対応しています。
Cooper & Turner社
近年、高強度で安全性が重要なファスナーを製造・販売を手掛けるCooper & Turner社にて、ボルト生産におけるオーエスジーの転造加工技術が採用されました。

UKのシェフィールドにあるCooper & Turner社の生産工場。1863年に設立された同社は、高強度で安全性が重要なファスナーを製造しており、1世紀以上にわたって蓄積された知識と経験を持っています。
1863年に設立されたCooper & Turner社は、構造用ボルトの製造・販売における世界的なリーディングカンパニーであり、長年にわたり高品質の製品とサービスで高い評価を得ています。同社のボルトには、各種のスタッドボルト、工業用ファスナーなどがあり、それらは砂漠の暑さ、北極の寒さ、深海に至るまで、世界で最も過酷な環境でも動作可能と判断される厳しい要求を満たし、最大限の安全性を提供します。

素材の在庫。
同社のグローバル本社は、UKのサウス・ヨークシャー州シェフィールドにあります。シェフィールドは、16世紀ごろより鉄鋼業で繁栄した歴史的な都市です。シェフィールドの丘陵地帯からは鉄鉱石、石炭そして砥石用の砥粒が産出され、市内を流れる7つの川からは水車動力(蒸気以前の時代)が得られました。また、森林は木材と木炭の供給源となりました。そして最も重要なポイントは、ベッセマー法によるるつぼ鋼(鋳鋼)やステンレス鋼などの製造技術革新の発祥地となったことです。Cooper & Turner社は、このような歴史とともに誕生しました。
1800年代の創業以来、同社はファスナー業界に貢献し続けています。高強度ボルトの締め付け時のトルク、張力を保証するための検査装置である「コロネット・ダイレクト・テンション・インジケーター」などの画期的な開発や特許を取得した高強度フリクション・グリップ・ファスナー(高強度ボルト)を製造しています。

UKのシェフィールドに位置するCooper & Turner社の生産工場にある転造盤。
Cooper & Turner社が製品を供給する市場には、再生可能エネルギー関連、石油・ガス、建設業界、鉄道、トンネル、石油化学、海洋開発業界などがあります。ヨーロッパ、アジア太平洋地域、アメリカで戦略的な事業を展開し、世界規模でお客様をサポートしています。
シェフィールドにあるCooper & Turners社の生産工場の敷地面積は35,000平方メートルです。熱間鍛造と冷間鍛造の両方に対応する製造設備で、様々なサイズの幅広い製品を供給しています。

転造加工はファスナーの大量生産に広く採用される最適な方法で、金属の可塑性を利用して、2組または数個でセットされる転造ダイスの間を素材が回転しながら転造ダイスに押し込まれることで、おねじを形成します。
数十年にわたるファスナー製造の歴史の中で、様々な方法によるねじ製造から転造ダイスによる加工へと進歩を遂げ、品質と供給量の両面でお客様の要求に応えてきました。転造加工はファスナーの大量生産に広く採用される最適な方法で、金属の可塑性を利用して、2組または数個でセットされる転造ダイスの間を素材が回転しながら転造ダイスに押し込まれることで、おねじを形成します。一般的に、10~1,500個/分の生産能力があり、高精度でばらつきの少ない大量生産が可能です。切削によるねじ加工とは異なり、長時間加工しても高品質の仕上げ面精度が維持されます。さらに、ファイバーフローが切断されないため、強度は約20%向上します。そのため、Cooper & Turner社にとって転造ダイスの性能は、非常に重要な条件になっています。

加工されたワーク。
OSG UKエリア営業部長Phil RidsdaleとOSG UK有数の代理店であるHelix Tool Company Limited(以下、Helix社)は、長年にわたりCooper & Turner社と連絡を取り合い、転造ダイスの新たなビジネスチャンスを求めてきました。オーエスジーは2017年に初めて平ダイスの試作品を提供し、その性能はCooper & Turners社の要求を満たすことができました。それ以来、良好な関係を築いています。現在、オーエスジーはM30からM72まで12サイズ以上の様々な転造ダイスを供給しています。Cooper & Turner社がオーエスジー製転造ダイスを採用した理由は工具寿命と技術サポートに優れていた点です。2017年に初めて提供したM30加工用の試作品は、他社製品の工具寿命6,000個に対し、12,000個以上の工具寿命を達成しました。オーエスジー製転造ダイスは、他社製品と比較して10~15%高価ですが、工具寿命を伸ばすことにより機械停止時間を大幅に削減し、転造ダイス1セットあたりの加工コストを50%以上削減できました。

オーエスジー製 M42x4.5用ねじ転造丸ダイス。ねじ転造丸ダイスは、様々な精密ねじ部品の転造加工に最適です。ねじ転造用丸ダイスは、2個または3個セットで使用されます。オーエスジーでは、ご希望の仕様に合わせたカスタマイズにも対応します。
オーエスジーは、高度な技術力と信頼できるネットワークを通じて、技術サポートを提供しています。Cooper & Turner社の主要な転造ダイスのサプライヤーになる以前から、オーエスジーは技術支援を行ってきました。例えば、Cooper & Turner社は生産スケジュールが遅れていたにもかかわらず、加工されたボルトの寸法が安定しないために、生産ラインが停止するという問題がありました。オーエスジーはその問題を解決するため、機械と素材のセッティングを確認しました。まず転造ダイスを調査し検査報告書を提出しました。さらに調査を進めた結果、素材の寸法が計算上の寸法より小さいため、転造される素材の体積が不足し、要求されるねじの有効径や外径を満足できないことがわかりました。その状態で転造後の製品寸法を満足させようと機械調整をしていたため、加工精度が不安定になっていました。

オーエスジー製転造ダイスの在庫。オーエスジーはM30からM72まで12サイズ以上の様々な転造ダイスをCooper & Turner社に供給しています。
このように、工具だけでなく周辺要因に関する高い技術レベルと理論的なアドバイスができることがオーエスジー技術サポートの強みです。さらに25年以上にわたってオーエスジーの重要な代理店であるHelix社は、工具の安定供給を維持する上で非常に大きな役割を果たしています。これはHelix社の最新の在庫管理システムの一つであるツール・サプライ・マネジメント(TSM)によるものです。このシステムは在庫数量を適正に管理し、必要なときに必要な数量の工具を簡単に入手できる工具販売機です。お客様への報告や請求書発行も簡素化することも可能です。Helix社のシェフィールド支店とCooper & Turner社が比較的近距離にあるため、在庫、納期、技術的または取引などに関する課題を正確に、かつタイムリーに把握することができ、オーエスジーとCooper & Turner社との間の正確なコミュニケーションを可能にしています。

Helix社は1994年にイングランド北部のヨークシャーの中心部に設立され、25年以上にわたってオーエスジーの重要な代理店となっています。Helix社の最新の在庫管理システムのひとつであるツール・サプライ・マネージメント(TSM)です。在庫数量を適正に管理し、必要なときに必要な数量の工具を簡単に入手可能で、お客様への報告や請求書発行を簡素化することができます。
Cooper & Turner社にとって、製品の品質・安全性は非常に重要であり、最も厳しい環境下で機能しなければなりません。オーエスジーは、生産性、加工精度、工具寿命を更に向上させるため、独自の工具素材の研究開発、工具設計、表面処理技術により、卓越した製造技術を追求するCooper & Turner社を今後も「限界を超えて」サポートしてまいります。

左から、Helix社 技術営業部長 John Smith氏、Cooper & Turner社製造部長 Andy Gale氏、OSG UK エリア営業部長 Phil Ridsdale、OSG UK 技術部長 Kirk Kubo、OSG UK 営業部長Paul Fitton。UK シェフィールドにあるCooper & Turner社の製造工場にて。
Cooper & Turner社、Helix社、OSG EX-CELL-O GmbH、オーエスジーの転造ダイス・ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。

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