工具寿命改善とサイクルタイムの短縮を実現

Aタップシリーズ特殊品A-OIL-SFT(油穴付き)による車軸生産の生産性を向上

Marcela Rattin Bombini  |  OSG Sulamericana

1960年に創立されたIndústria Mecânica São Carlos (IMSC)社は、ブラジル国内外の市場における自動車産業や重工・建機部品の加工、組み立ての主要なソリューション提供会社です。主な製品には、アルミニウム・鋳鉄を材料とするトランスミッションハウジング、鋳鉄・圧延鋼・鍛鋼を加工した車軸(熱処理あり・なし)、ホイールリダクションとブレーキパッドの組み立てなどがあります。

1960年に創立されたIndústria Mecânica São Carlos (IMSC)社は、ブラジル国内外の市場における自動車産業と重工・建機部品の加工・組み立ての主要なソリューション提供会社です。

188人のスタッフが働くIMSC社の製造工場は、ブラジルのサンパウロ州Elias Faustoにあり、敷地面積は、およそ400,000平方メートル、その敷地内に12,000平方メートルの工業用倉庫があります。

IMSC社の主な製品には、アルミニウム・鋳鉄を加工したトランスミッションハウジング、鋳鉄・圧延鋼・鍛鋼を加工した車軸(熱処理あり・なし)、ホイールリダクションとブレーキパッドの組み立てなどがあります。

近年、IMSC社はダンプカー用の車軸生産における工具性能を改善しようとしてきました。この車軸は、同社が約10年間製造を続けているものです。IMSC社の目標は、1本の工具で加工できる加工数を増やしつつ、マシンタイムを短縮することでした。車軸はボロン鋼39MnCrB6 (350 HB)で作られ、年間の生産数は約78,000個です。一つの製品に対してM22×1.5タップ許容差6HX、有効ねじ長さ54 mmの止り穴のめねじを2ヶ所加工する必要があります。この加工には、オークマ株式会社製の横形マシニングセンタMA600HBとDMG 森精機株式会社製の横形マシニングセンタNH 600を使用しています。

IMSC社では、ボロン鋼39MnCrB6 (350 HB)材の車軸製品におけるタップ加工を改善する方法を模索していました。一つの製品に対してM22×1.5タップ許容差6HX、有効ねじ長さ54 mmの止り穴のめねじを2ヶ所加工する必要があります。

IMSC社の工場を訪問した際、OSG Sulamericanaの技術者Gabriel Fernando Gialorençoは、加工改善への取り組みとして工具試験の機会をいただけないかと依頼しました。現状を詳細に検討した結果、GialorençoはAタップシリーズ特殊品A-OIL-SFT(油穴付き) M22 x 1.5 DIN 374 (EDP# 48139240に油穴を追加した仕様)を提案しました。

車軸部品の加工を担当をするIMSC社のプロセスエンジニアWilson Santos氏。

オーエスジーのAタップは、工具管理を簡略化し、幅広い被削材と用途において優れた性能を発揮する多機能タップシリーズです。止り穴用のスパイラルタップでトラブルのない切りくず排出を実現することは特に難しく、多くのユーザの主な頭痛の種となっています。この問題を解決するため、オーエスジーのAタップシリーズA-SFTは、不等リード溝を採用したことにより、安定した切りくずの排出と切削抵抗の低減を実現しています。この溝の仕様は、切りくずが形成される先端の食付き部から、切りくずが排出されるシャンク側の後方の溝にかけて、ねじれ角が変化しています。このユニークな形状により、切りくずの形状がコントロールされ、加工穴から排出しやすい切りくずを生成することができます。

A-SFTは、工具寿命を20%延ばすとともに、1部品当たりの加工時間を4秒短縮することができました。年間生産数が78,000個の場合、加工時間を年間312,000秒、すなわち5,200分短縮することができます。

幅広い切削条件に対応するため、このシリーズには粉末ハイスとオーエスジー独自のVコーティングが採用され、優れた耐摩耗性を実現しています。さらに、高速加工を可能にするため、Aタップシリーズは切れ味を重視した独自の刃先を採用しています。Aタップシリーズは一般的な被削材で優れた性能を発揮するだけでなく、ステンレス鋼や軟鋼といった難削材でも威力を発揮します。Aタップは、従来の汎用機から最新のマシニングセンタまで、様々な種類の工作機械に対応することができます。

左から、Aタップの特長を説明するOSG Sulamericanaの技術者Gabriel Fernando Gialorençoと、説明を聞くIMSC社のプロセスエンジニアWilson Santos氏。

機密保持のため、IMSC社は従来工具の情報は公開していません。しかし、試験終了時、A-OIL-SFTを使用した際の切削速度は、従来工具の8 m/minから11 m/minに改善したことを確認できました。A-OIL-SFTの性能は、従来工具の加工時間と工具寿命の両面で優れていました。A-OIL-SFTは、工具寿命を20%延ばすとともに、1ワーク当たりの加工時間を4秒短縮することができました。年間生産数が78,000個の場合、加工時間を年間312,000秒、すなわち5,200分短縮することができます。

左から、IMSC社社長Lino Fracasso氏、IMSC社の購買アナリストJuliana Santana氏、IMSC社のプロセスエンジニアWilson Santos氏、OSG Sulamericanaの製品技術者Gabriel Fernando Gialorenço。ブラジルのサンパウロ州Elias FaustoにあるIMSC社の工場にて。

機械オペレータなら誰もが、最終工程でタップが折損するということは、コストと生産・納期に大きな影響を与えることを理解して頂けるでしょう。IMSC社は、オーエスジーのA-OIL-SFTを採用したことで、車軸生産において安定したタップ加工を実現するとともにコストを削減し、価格競争力のある高品位な製品をお客様に提供できるようになりました。

オーエスジーの多機能高能率タップシリーズ「Aタップ」Indústria Mecânica São Carlos社の詳細情報