OZT ツールプリセッタを採用することで、ダウンタイムを抑え、部品の品質を管理し、工具の長寿命化を実現します。
升原玲子 オーエスジー株式会社
製造分野で成功を収めるには、生産性と品質が鍵となります。生産性を高めようと思うときしばしば最初に思い付くのが、多大なコストがかかる最新のハイスペックな設備への投資です。一方、段取りのプロセスを改善すると大きな利益がもたらされる可能性があるのですが、そのような選択肢は一般的に見落とされがちな上、コストもかかるものと考えられているようです。とにかくどの工場でも、精度を確保するためには、工具の設定のために工具を測定する機械が必要なのです。オフラインの工具のプリセットを行わない工場は、マシニングセンタに頼ることになります。この場合、精度は下がり、結果的にコスト増になってしまいます。マシニングセンタは、製造現場では最も高価な設備の一つです。工具の設定のためそのマシニングセンタを停止させていては、工場で利益を生み出すことはできません。そこで、経済的な工具の設定の方法として、ツールプリセッタをお勧めします。
ツールプリセッタとは、工具の測定機器の一種です。工具のプリセットや測定を行う機械を導入することで、長寿命化と迅速な設定が実現し、不合格品の発生を回避し、工具の接触を防止することができます。これらは幅広い用途と様々な産業で威力を発揮します。工具のプリセットや測定を行う機械によって、作業の準備とプログラミングにかかる時間が短縮されるだけでなく、測定値を見える化することで、ユーザに対しても品質を保証することが可能となるからです。オーエスジーは工具のプリセットの重要性を認識し、ドイツを拠点に工具のプリセットと測定を行う機械を製造しているZOLLER社と共同で、2013 年11 月、工具のプリセットや測定を行うOSG ZOLLER ツールプリセッタ(OZT)の開発に成功しました。
ZOLLER 社について
ZOLLER 社は、1945 年、ドイツで研削における生産コスト削減を目的として創業されました。ツールプリセッタ、工具測定、検査器分野で精度と生産性の向上を追及する世界のリーディングカンパニーです。ZOLLER 社の製品は、品質と環境管理に関するISO 9001 とISO 14001 の認証を受けています。同社はこれまでに著しい成長を遂げ、米国、中国、インド、日本をはじめとする国々で新たな市場を開拓しています。工具のプリセットと測定のための機械の出荷台数はこれまで70 年間で、全世界で実に30,000 基以上にのぼっています。
OZT ツールプリセッタ
OZT ツールプリセッタの開発プロジェクトを主導したのが、オーエスジーのセールスエンジニアチームマネージャの今泉悦史でした。この開発により、メーカは製造時の精度と効率を高めることができます。さまざまなニーズに対応するため、OZT シリーズは入門レベルのOZT-1、ミドルレンジのOZT-2、そしてあらゆる精密工具に対して万能性を発揮するフルスペックのOZT-3で構成されています。
OZT ツールプリセッタは、コンパクトな設計ですがパワフルで、狭いスペースの作業場にも導入することができます。また、グラフィックを使用したユーザインターフェース、ダイナミックな十字線、写真のようにリアルな入力ダイアログを採用しており、ユーザフレンドリで直観的な使い心地が特徴的で、たった1 つのユーザインターフェース上で複雑な測定を行うことができます。 OZT シリーズの第二世代。ドイツのメーカZOLLER社と共同で開発されたOZT により、工具の精密な測定とプリセットを迅速かつ簡単に行うことができます。これにより、最終的に機械のダウンタイムが抑えられ、高精度な部品を生産し、コストの削減にもつながります。
OZT ツールプリセッタは高精度な構成部品を使用しており、繰り返し精度の高い測定ができます。さらに、従来の同等品と比較してはるかに高い操作性を誇っています。OZT を実装することで、工具を使用する前に測定し、許容差を確認し、調整することができます。その結果、CNC 工作機械は高精度でブレのない切削を行うことができるのです。工具のプリセットがマシニングセンタではなくOZT で行われるため、CNC の生産性をすぐに高めることができます。さらに、測定、プリセット、および点検の各プロセスをCNC マシニングセンタの近くで行うことが可能になります。精度について言えば、投影技術はオペレータの腕によるところが大きいため、一貫性のない測定結果になりがちです。OZT を導入すれば、オペレータに関係なくいつでも高い精度と整合性を維持できます。カメラとソフトウェアという最新の視覚システムを使用することで、OZT は刃先の測定をわずか数秒で行うことができ、従来のプロジェクタと比較して、はるかに迅速に測定を行います。そして何よりも忘れてはならないのが、OZT の早い動作と使いやすさです。ダイナミックな十字線(自動刃先検出)が画面上で刃先を迅速かつ正確に取得するため、面倒な位置合わせを行う必要がありません。
OZT シリーズの最近のアップグレードは、2017 年8 月に行われています。第二世代のOZT では、z 軸の範囲を400/600 から350/420/600 に、x 軸の範囲を400/600 から320/420/620に改変することで柔軟性と効率性のバランスをさらに改善し、さまざまな作業環境に対応できるようになっています。
OZT ツールプリセッタのキャラバンキャンペーン
ツールプリセッタは、生産性の向上を追求しているユーザに、優れた経済性を約束するソリューシンです。オーエスジーが行った社内調査によると、1 台のマシニングセンタで1 日に工具を20 個交換しなければならないと仮定すると、年間100 万円相当の製造時間が停止時間として費やされることになります。OZT ツールプリセッタを実装することで、このようなロス時間をなくすことができるのです。発生するコストであれば何でも、投資として捉えることはできます。工具のプリセットと測定を行う機械も投資に変わりありません。ツールプリセッタについては、多くのユーザが導入に躊躇しています。これは、彼らが使いやすさに懸念を抱き、購入したOZT が本当に能力を最大限に発揮してくれるか確証を持てないためです。
さらに、OZT を含む機械は通常、展示会などでしか披露されることがありません。オーエスジーはこれまで、多くのお客様がスケジュールの都合や遠方であること、あるいはその他の理由で展示会に来場できない実情を目の当たりにしてきました。そしてさらに注目すべきは、オペレータや管理スタッフが展示会にくることがほとんどできないことです。こうした課題を解消すべく、2015 年5 月にOZT ツールプリセッタのキャラバンキャンペーンが企画されました。
OZT ツールプリセッタのキャラバンキャンペーンとは、セールスエンジニアがOZT-3 ツールプリセッタをデモカーに搭載して顧客や展示会を訪問し、その場でデモ実演を行い様々な質問に答えるという活動です。
「最初にOZT がいかに操作性が良いかを説明することがとても重要なのです」と、オーエスジーのセールスエンジニアでOZT キャラバンキャンペーンのリーダである山崎和典は語っています。「実は、たくさんのお客様がこれまでに似たような機械を購入しているのですが、操作性が良くないために使わなくなってしまい放置され、ホコリを被っているのが現状です。こうした経験をされた方には特に、OZT の使いやすさについて丁寧に説明しなければならないとえています。」
オーエスジーのセールスエンジニアでOZT キャラバンキャンペーンのリーダを務める山崎和典 OZT ツールプリセッタのキャラバンキャンペーンは、セールスエンジニアがOZT-3 ツールプリセッタを持参して顧客や展示会を訪問し、その場でデモやQ&A セッションを開くという活動です。
OZT ツールプリセッタのキャラバンで使用するラッピングカーは、デモをすぐに車上で行えるように特別に設計されたものとなっています。OZT キャラバンではラッピングカーからルーフを出せるように用意されているため、たとえ天候が悪くても車両の周囲でデモを実施することができます。待ち時間もなく、1 回のデモが20 分から30 分となっています。しかし、質問が多数飛び交うときは、1 件のエンドユーザでの時間が1 時間から2 時間と長くなることもあります。OZT キャラバンのチームは、1 日にユーザを4 件ほどを訪問することがあります。
そして、キャラバンが展示会に訪問するときは、より多くのユーザ様を前にデモを行うことが出来、来場者と交流することができます。
OZT のセールスエンジニアたちはニーズに応じて、滞在時間を調整しつつ顧客のもとを訪問することができます。彼らのチームはこれまでに、北は青森から南は九州に至るまで、日本全国を訪れています。デモを開いてほしい、あるいはより詳しい説明が聞きたいといった要望があれば、OZT チームがお伺いできる体制が整っています。
お客様の反応
OZT ツールプリセッタのキャラバンツアーが始まって以来、お客様からは嬉しい意見が多数寄せられています。西日本でロボット関連の精密部品を製造しているあるユーザは、「オーエスジーとZOLLER 社の2 社から技術支援を受けることができるのでとても安心です。だから我々はOZT-3 を購入しました。」との意見が寄せられています。
生産性の向上を目指すには、必ずしも高価で新しいマシニングセンタを揃える必要はありません。ツールプリセッタがあれば、工具の測定を迅速に、容易に、正確に、かつ確実に行うことができます。工具をセットアップするプロセスを改善することで、ダウンタイムを抑えて製造プロセスを合理化し、部品の品質を高め、最終的には採算を高めることができるのです。マシニングセンタに工具をセットする頻度が高ければ高いほど、ツールプリセッタの貢献度は高くなります。
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