今も発展が目覚ましい英国の製造業界

OSGは、高い競争力を持って先端を走り続ける英国のエンジニアリング産業に一流の切削工具技術を供給することで、英国の製造部門のさらなる発展に貢献しています。

クボ・ヒロズミ氏 | OSG UK

今日、世界のエンジニアリング産業に関するホットな話題はいつも、中国、米国、日本、ドイツといった国々にフォーカスされているようです。しかし、Clarkwood Engineering社をはじめとする英国の企業をみると、同国の製造業界の勢いとその目覚ましい発展が分かります。英国のEU離脱(Brexit)による影響はないのでしょうか?「この通り、私たちは忙しい毎日を過ごしています。影響など全くないですよ」と、Clarkwood Engineering社のチーフCNCプログラマー、Steven Hall氏は語ります。

1974年に創業したClarkwood Engineering社は、さまざまな用途に用いられる高品質の特殊な締め具を製造している、英国のウルヴァーハンプトンという都市にある企業です。

英国では18世紀に産業革命が起き、世界最大の産業の中心地として君臨してきました。国連貿易開発会議が2015年に行った調査によると、現在でも英国は、世界第9位の製造業生産高を誇っています。あなたもかつて、どこかで、直接的あるいは間接的に、英国の製品の恩恵を受けたことがあるに違いありません。そのような知識はあっても、実際のところ英国の産業が日々、どのような動きをみせているか、思いを巡らせたことはあるでしょうか?

さて、Clarkwood Engineering社は、高い競争力を誇る英国のエンジニアリング産業を支えている代表的な企業のひとつです。

1974年に創業した同社は、さまざまな用途向けの高品質の特殊なねじを製造しています。同社が生産している主な製品には、ボルト、ナット、プラグ、ソケットキャップスクリュー、旋盤加工部品、ワッシャなどがあります。77人の従業員を抱えているClarkwood Engineering社は、英国のウルヴァーハンプトンという都市にあり、同社が所有する敷地面積はおよそ50,000平方メートルに及びます。

高品質な製品を自負する企業として、同社は最新鋭の設備への投資を継続させることで、精度と効率性の向上を図っています。同社はISO 9001に登録されたことに加えて、アメリカ石油協会(API)に規定されている20Eと20Fにおいて最も厳しいボルト規格であるのBSL-3を見事、取得しています。では同社は、いかに高品質な製品の売上成功を成し遂げたのでしょうか?OSGが貢献させていただくのは、まさにこの段階なのです。

現在、Clarkwood Engineering社は、さまざまなナットの製造において必要なほとんどの機械加工にOSG製品を採用しています。大型ナットの正面フライス用に、OSG Phoenix 6コーナ片削りカッタPSTWーを採用しています。

OSGは、Clarkwood Engineering社が展開する卓越した製品に微力ながら貢献させていただけることを光栄に感じています。Clarkwood Engineering社の主力製品のひとつが、同社が創業当初より生産している海中(海底)設備や石油化学工業向け重工業用のナット類です。スーパー二相ステンレス、インコネル、チタンなどの素材が一般的に採用されていますが、これらの素材には超硬切削工具が摩耗しやすいという欠点があります。OSGが初めてClarkwood Engineering社を訪問した当時、同社はすでに世界有数の上質で高価な切削工具を採用していました。同社は常に、コスト削減を達成しながら生産高を高める必要性に迫られています。OSGの製品も高い品質を保証するために、価格が高く設定されています。しかし、OSG UKのエリアマネージャーであるNeil Lane氏はすぐさま、Clarkwood Engineering社が取り組むべき多くの潜在的な改善点を見出しました。

側面切削を必要とするスーパー二相ステンレス(30 HRC)を使用したナットの生産は、そうした分野のうちのひとつです。スーパー二相ステンレスは非常に短時間のうちに切削工具が摩耗してしまうため、Clarkwood Engineering社はコストを削減と、サイクルタイムを改善させる方法を積極的に模索していました。同社は当初、競合他社の4枚刃超硬エンドミルを使用していましたが、価格はOSGのUVX-Ti -5FL(5枚刃)よりもおよそ4割高いものでした。

側面切削を必要とするスーパー二相ステンレス(30 HRC)を素材とするナット。Clarkwood Engineering社が生産している主な製品には、ボルト、ナット、プラグ、ソケットキャップスクリュー、旋盤加工部品、ワッシャなどがあります。

チタン合金加工用エンドミルUVX-Tiシリーズは、チタン合金の用途で卓越した性能を発揮するOSGが開発した革新的なミーリング工具のひとつです。このエンドミルの特長は、びびりを抑える効果のある不等分割と不等リード溝の仕様を採用していることです。溝の形状が最適化されているため、切りくずのスムースな排出を実現します。芯厚が変化するウェブテーパにより高剛性を実現し、高能率な切削をお約束します。UVX-Tiシリーズには、4枚刃、5枚刃、ロング形が取り揃えられています。

チタン合金加工用エンドミルUVX-Tiシリーズは、チタン合金の用途で卓越した性能を発揮するOSGが開発した革新的なミーリング加工用工具の一つです。

現状の他社品は、DMG森精機製VMC40立形マシニングセンタで、25 cm3/分の材料除去率(MRR)にて500個の部品を製作することができました。一方、OSGの外径16 mmのUVX-Tiを使用した切削試験では、53 cm3/分の材料除去率(MRR)にて700個以上の部品を加工することができました。たとえ工具寿命が同等であったとしても、UVX-Tiのほうがコストの面で現状の他社品をはるかに上回ります。UVX-Tiの工具寿命と加工数は、競合他社の工具のそれらの2倍近くに達したばかりか、材料除去率(MRR)も2倍に達し、より速いサイクルタイムを可能にしました。

OSG不等リード、不等分割溝を採用したチタン合金加工用エンドミルUVX-Tiは、Clarkwood Engineering社のスーパー二相ステンレスの加工でより短いサイクルタイムとと長い工具寿命をお約束します。

数ヶ月後、Clarkwood Engineering社の最高経営責任者(CEO)、Roger Wood氏はOSG UKのエリアマネージャー、Neil Lane氏に切削工具の請求書を見せてこう言いました。「UVX-Tiは、サイクルタイムの面でも価格の面でも、他の工具の追随を許しませんね。」

(左から)OSG UKのエリアマネージャー、Neil Lane氏、OSG UKのエンジニアリングマネージャーのクボ・ヒロズミ氏、Clarkwood Engineering社の主任CNCプログラマーのSteven Hall氏(英国、ウルヴァーハンプトンに所在するClarkwood Engineering社の製造施設にて撮影)

現在、Clarkwood Engineering社はさまざまなナットの製造で必要なほとんどの機械加工にOSG製品を採用しています。たとえば、穴加工用のOSG Phoenix インデキサブルドリルPD、ねじ加工用にワンレボリューションスレッドミルAT-1、大型ナットの正面切削用のOSG Phoenix 6コーナ片削りカッタPSTWなどです。これらの工具はすべて、ローカルメーカはもちろん、ハイエンドな英国のエンジニアリング部門にもさらなる価値をもたらしたいという真摯な思いをもって供給しています。

UVX-TiClarkwood Engineeringの詳細情報