座ぐり加工における究極のソリューション

超硬フラットドリルADFがベアリング生産における座ぐり穴加工の品質を向上させつつ工具寿命と効率を2倍以上に改善

Tim Holmer  |  OSG USA

アメリカのカリフォルニア州ロスアラミトスにあるProfessional Bearing Service Inc.は、40年以上にわたってベアリング、オイルリング、シールの再調整と修理を行ってきました。創業者は父親のTed Mandryk氏と息子のChris Mandryk氏です。目標は、石油精製所、発電所、電動機販売店や工場、下水処理施設といった幅広い産業で使われるバビットベアリングの修理と製造の分野で先頭に立つことでした。Professional Bearing Service社では現在、12,280平方フィートの工場内に28人のスタッフが働いています。従業員の多くは、平均15年以上勤務している勤勉な社員です。

1978年から、Professional Bearing Service社は年中無休・24時間営業のバビットベアリングの総合修理・製造サービスの先駆けとなりました。

「お客様から午前2時や3時に装置がダウンしたという電話がかかってくることもあり、そういう時は直ちに修理または新しい部品の製造に取りかかります」と語るのは、Professional Bearing Service社のCNC管理者Joe Gonzalez氏です。

「お客様の装置がダウンした場合、生産時間の損失は1時間当たり数千ドルになることもあります」とGonzalez氏は言います。「解決策を直ちに提供できることは、お客様の生産計画と財政面にとって極めて重要なのです。」

長い年月の間に、Professional Bearing Service社はベアリングの修理から、長く取引しているお客様に最適なサービスを提供するために特定の製品を在庫する方式へと変化してきました。お客様に優れた製品を継続して提供する同社は、工程をさらに改善するための新たなソリューションを常に探求しています。

AISI1020材製ベアリングの座ぐり加工工程を担当するアメリカ カルフォルニア州 ロス・アラシストスにあるProfessional Bearing Service社のCNCプログラマーTravis Lee氏。

近年、Professional Bearing Service社は座ぐり加工における同社の懸案課題の解決に取り組んできました。同社は、年間約500個のベアリングを製造し、内約90%に座ぐり加工を行っています。円形の製品であるベアリングでは、様々な加工で問題が生じる場合があります。このベアリングの製造をするために、曲面を平面に加工する箇所が数箇所あります。同社で加工する座ぐり穴の深さは、1.5インチから4インチを超えるものがあります。加工深さの範囲が広いため、この加工に適した生産性と効果的な工具を見つけることは困難でした。  

かつて、同社では0.5インチの4枚刃エンドミルを用い、プランジ加工にて、低炭素鋼AISI1020材にフラットな穴底加工をしていました。このエンドミルは刃長1インチ、全長6インチでした。この工具はSouthwestern Industries社のTrak Machine Toolマシニングセンタを使い、切削条件は2,000 RPM (262 SFM)、送り速度5 IPM (0.0006 IPT)、0.050インチごとのステップ加工にて使用されていました。工具の平均寿命は、50個(4穴/1個)、すなわち200穴でした。

Professional Bearing Service社では年間約500個のベアリングを製造しています。円形の製品であるベアリングでは、様々な加工で問題が生じる場合があります。このベアリングを製造するために、曲面を平面に加工する箇所が数箇所あります。Professional Bearing Service社で扱う座ぐり穴の深さは、1.5インチから4インチを超えるものがあります。

Professional Bearing Service社では、ベアリングにボルトを挿入するための深い止り穴のねじ立て加工に、オーエスジーのAタップシリーズを使用しています。同社のCNC部門では、ここ2年間オーエスジーのAタップ製品を採用し、どの競合他社製のタップも達成できない優れた成果を挙げてきました。オーエスジー製の工具の性能に対する高い信頼と、工具サプライヤーであるPacific Industrial Supply Co.の推薦により、座ぐり加工の課題に取り組むためのドリルとしてオーエスジーの傾斜面や座ぐり加工に適した超硬フラットドリルシリーズADFを試すことを決めました。

従来、フラットな穴底加工をするには、エンドミルとドリルを使う必要がありました。オーエスジーの超硬フラットドリルADFは、前加工でドリルによる穴加工を必要としないワンステップでの座ぐり加工を可能にし、加工時間を短縮するとともに工具管理を簡略化することができます。ADF独自のバランスの取れた先端形状は、加工精度を向上させ、穴位置のずれを最小限に抑えることができます。鋭い刃先形状は切削抵抗を低減し、薄板の加工においてもバリを最小限に抑えることができます。また、広いチップルームにより、トラブルのない切りくず排出を実現します。さらに、オーエスジー独自のEgiAs(イージアス)コーティングを施すことで、耐熱性と耐摩耗性を向上し工具寿命を延ばすことができます。

ADFは、傾斜面の加工や座ぐり加工にも適した仕様に設計されており、様々な用途に対応できるフラットドリルシリーズです。従来のドリルと異なり、ADFフラットドリルは傾斜面や曲面に前加工なしで穴加工することができます。

詳細な検討の結果、オーエスジーの超硬フラットドリルADFシリーズからADFLS (EDP# 3333050)直径10.5 mm (0.4134インチ)を試すことになりました。ADFLSは溝長46 mm (1.811インチ)、全長160 mm (6.3インチ)です。オーエスジーのフラットドリルADFにより、Professional Bearing Service社のCNC部門はSouthwestern Industries社のTrak Machine ToolマシニングセンタでAISI1020材の製品をより効率よく加工することができました。この工具の切削条件は、2,500 RPM (270 SFM)、送り速度10 IPM (0.002 IPT)、0.050インチごとのステップ加工で使用されました。

ADFシリーズは、炭素鋼、合金鋼、焼入れ鋼、鋳鉄などの材料に適しているほか、近頃追加された油穴付きADFOにより、ステンレス鋼にも対応できます。Professional Bearing Service社のベアリングの材料は様々ですが、ほとんどはAISI1020材、鋳鉄、青銅で作られており、いずれもオーエスジーのADFで対応が可能です。同社ではまだADFの完全な工具寿命を確認していませんが、これまでの成果に極めて肯定的な評価をしています。ADFは以前使用していた工具の寿命の約3倍に当たる140個の部品(560穴)を達成しており、今でもAISI1020材・青銅の加工に使用されています。ADFドリルの価格は競合他社製の工具よりも約30%高いものの、工具寿命は2倍以上であり、加工時間は50%から70%短縮され、加工品質も向上しました。

「当社では本工程の作業時間を50%から70%短縮するとともに、製品の仕上げ面精度も改善することができました」とGonzalez氏は言います。「Professional Bearing Serviceの目標は、お客様に最高の製品と最短のリードタイムを提供することです。オーエスジーには、当社の目標達成のためにお力添えをいただいています。」

オーエスジーの超硬フラットドリルシリーズADFProfessional Bearing Service Inc.の詳細情報