4倍の生産性

ホイールハブベアリングのサプライヤーが超硬ソリッドドリル(AD-2D)で経済的かつ迅速な製造を実現

内藤幾之  |  オーエスジー USA

世界の製造業はインダストリー4.0によって急激な速さで変化しています。技術の進歩により、メーカは経済性の高い新手法の採用を迫られ続けています。変化の激しい現代の市場環境で成功を収めるため、アメリカのイリノイ州のNTAプレシジョン・アクスル・コーポレーションは、オーエスジーの最先端ドリルソリューションを活用してホイールハブベアリングの生産効率を最大限に高めています。

NTA社は、自動車用ハブベアリングの前工程である鍛造、熱処理、旋削を統合する目的で、NTN 株式会社、高雄工業株式会社、アサヒフォージ株式会社の合弁会社として2010年にキャロルストリームで設立されました。NTA社では現在、5万3,500平方メートルの敷地内に270人のスタッフが働いています。

ホイールハブベアリングはNTA社の主要製品で、同社が設立当初から製造を続けてきたものです。この製品はほとんどの車両で使われる自動車部品で、各車軸に設置され、車体から加わるさまざまな力に耐えなければなりません。

ホイールハブベアリングは他の部品にナットやボルトを使って取り付け・接続されるため、穴開けが必要になります。NTA社のホイールハブベアリングには、1個につきS53Cの炭素鋼に5個の穴があります。NTA社は年間約84万個の部品を生産しているため、開けられる穴の数は420万個に上ります。

NTA社のホイールハブベアリングでは、1個につきS53Cの炭素鋼に5個の穴を開ける必要があります。NTA社は年間約84万個の部品を生産しているため、開けられる穴の数は420万個に上ります。

NTA社では従来、この加工に競合他社製の直径11.8 mmの直刃超硬ドリルを使用していました。同社の目的は、品質を下げることなく1部品当たりのコストをさらに改善することでした。NTA社はオーエスジー製タップの既存ユーザですが、他の工具を使用した経験はほとんどありませんでした。その為、改めて、複数回の訪問と詳細な加工内容の確認を経て、オーエスジーのJTAアカウントマネージャー、佐藤健一郎は、1部品当たりのコスト削減の課題に取り組むためのドリルとして、オーエスジーの「Aブランド」シリーズAD-2D超硬ソリッドドリルを提案しました。

ADドリルは、オーエスジーの多用途向け超硬ドリルシリーズの一部です。標準在庫品としては、直径2 mmから20 mmまで、刃長2Dおよび4Dを取りそろえています。ADシリーズの特殊な刃先設計は、炭素鋼および鋳鉄加工時の外周摩耗を劇的に抑制します。また、スムースな切りくず排出性が低スラストと安定した加工トルクを実現し、さまざまな加工環境に柔軟に対応可能なシリーズとなっています。

ADドリルは、オーエスジーの多用途向け超硬ドリルシリーズの一部です。ADドリルの特殊な刃先設計は、炭素鋼および鋳鉄加工時の外周摩耗を劇的に抑制します。

切削試験でのNTA社の目標は、競合他社製ドリルからの改善として、ドリル1本につき1,600個の部品を生産すること、すなわち8,000個の穴を開けることでした。佐藤がAD-2Dドリルの結果をNTA社と確認したとき、成績は信じられないほど優秀で、数字を再確認しなければならないほどでした。オーエスジーADドリルの平均工具寿命は部品6,400個で、ドリル1本につき穴3万2,000個という驚異的な数だったのです。それは期待の4倍を上回るものでした。複数回の切削試験での一貫した成績により、NTA社は確信を持って切り替えを決断しました。傑出したコスト削減に加え、オーエスジーはNTA社のコスト効率最大化をさらに支援するため、再研磨サービスも提供しています。

左から、NTA社のトレーナー、時国亨(ときくにとおる)氏、NTA社の工具庫コーディネーター、鈴木絵里子(すずきえりこ)氏、オーエスジーのJTAアカウントマネージャー、佐藤健一郎(さとうけんいちろう)。

現代のホイールハブベアリングは、さらなる高効率を達成するためにますます洗練され、集積化されてきています。品質と性能に対する要求が高まることで、自動車部品メーカーには迅速さが問われています。2020年に10周年を迎えるNTA社は、継続的な製造工程の改善により、成功への道を歩み続けていくでしょう。

ADドリルの詳しい情報