エンジンブロックの生産で起こる工具の折損問題を、ADO-30D油穴付き超硬ドリルが解決
マルセラ・ラティン・ボンビーニ | OSF (オーエスジー・スラメリカーナ)
穴切削は一般的な工程です。しかし、深穴切削には一段違うレベルの難しさがあります。JISの定義では、長さと直径の比が4倍以上である場合を深穴切削としています。
深穴切削が難しいのは、切りくずの排出と切削油剤の供給が制限されるためです。そして、不安定な切りくずと発生する熱は、工具の折損や表面の仕上がりが不良の原因となり、非常にコストがかさむ可能性があります。

ブラジルのサンパウロにあるMWM社の工場の生産部床面積は約8万3,000平方メートルで、1,250人のスタッフが働いています。
エンジンブロックの生産では、さまざまな種類の穴を開ける必要があります。一番大きい穴はシリンダー、小さい円形の穴は取り付け穴、小さい楕円形の穴はクーラントやオイルのダクトです。
エンジンブロックは内燃機関の最も重要な部品の一つです。一般的にはシリンダーブロックと呼ばれており、その主要な機能は、ピストン、コネクティングロッド、クランクシャフト、冷却回路といったエンジン部品を内部に収め、支持することです。車両の走行中、エンジンブロックには大きな機械的・熱的ストレスが加わるため、大きな力つまり、圧力、振動、温度に耐えられなければなりません。さらに走行の安全を脅かす原因となるため、開けられる穴の品質は要求される許容差を満たす必要があります。MWM モータース・ディーゼル社が生産しているエンジンブロックの一つでは、深さ405 mm、直径8 mmの2個の深穴の切削が必要になります。

MWM社のアクテオンエンジンブロックはねずみ鋳鉄GG25で作られ、深さ405 mm、直径8 mmの2個の深穴の切削が必要になります。
1953年に創立されたMWM社は、ラテンアメリカの地で、ディーゼルエンジン技術の発展においてリーダー的な存在です。2005年、同社は北アメリカのナビスター・エンジン・グループの一部となりました。MWM社は、ブラジルのサンパウロとアルゼンチンのコルドバ州ジーザス・マリアに工場を展開しています。

ブラジルのサンパウロにあるMWM社の工場では、エンジンブロックの生産にヘラー社の5軸横形マシニングセンタMCH 350を使用しています。
MWM社の製品は、車両、農業、工業、発電、海運の分野で利用されています。従来のディーゼルエンジンに加え、MWM社には1万6,000点を優に超える予備部品の完全な品ぞろえもあります。現在、同社の輸出先は45か国を超え、南アメリカ、北アメリカ、中央アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オセアニアに広がっています。

左から、オーエスジーの販売技術者、ヴァルディル・リマ、MWM社のプロセスエンジニア、タルチシオ・ボッタチーニ氏。直径8 mmの油穴付き超硬ドリルADO 30Dをカメラに見せているところ。
ブラジルのサンパウロにあるMWM社の工場の製造所床面積は約8万3,000平方メートルで、1,250人のスタッフが働いています。MWM社のアクテオンエンジンブロックの生産を監督するプロセスエンジニア、タルチシオ・ボッタチーニ氏は、加工中に工具が頻繁に折損し、部品を何度も再加工しなければならないことに悩まされていました。このシリーズのエンジンブロックは、ねずみ鋳鉄GG25で作られます。MWM社は2011年からこの部品の生産を開始し、年間約3,800個を生産しています。各部品には、深さ405 mm、直径8 mmの貫通穴を2個開ける必要がありますが、精度許容差は± 0.1 mm以内でなければならず、Rz 63の表面粗さが求められます。

MWM社は2011年からアクテオンエンジンブロックの生産を開始し、年間約3,800個のブロックを生産しています。
MWM社では、この加工のためにヘラー社の5軸横形マシニングセンタMCH 350を、工具ホルダHSK-100、水溶性切削油剤とともに使用しています。そして、性能の安定しない競合他社製の直径8 mmの油穴付き超硬ドリルを使用していました。MWM 社はオーエスジーの既存のクライアントであり、他の工具で成功実績があったことから、ボッタチーニ氏は加工改善についてオーエスジーの販売技術者ヴァルディル・リマに相談することを決めました。

直径8 mmの油穴付き超硬ドリルADO 30Dを確認するMWM社のプロセスエンジニアタルチシオ・ボッタチーニ氏。
詳細な加工内容の確認を経て、リマはオーエスジーの直径8 mmの油穴付き超硬ドリルADO-30Dを推薦しました。ADOシリーズは、オーエスジーの油穴付き超硬ドリルのプレミアム製品で、標準在庫品として3Dから50Dまでを取りそろえています。スムースな切りくず排出性と高い工具剛性を実現するADOの独自な刃形仕様は、超深穴切削加工における性能を最適化するように設計されています。MWM社の加工で特に重要となるのは、切りくずを細かく分断できるADOの能力です。この能力により切りくずを扱いやすい大きさに安定して分断できるため、競合他社製の工具に対する大きな強みとなります。

ADOシリーズは、オーエスジーの油穴付き超硬ドリルのプレミアム製品です。スムースな切りくず排出と高い工具剛性を実現するADOの独自の刃形仕様は、深穴切削用途における性能を最適化するように設計されています。標準在庫品としては3Dから50Dまでを取りそろえています。

左から、オーエスジーの販売技術者、ヴァルディル・リマ、MWM社のプロセスエンジニア、タルチシオ・ボッタチーニ氏。直径8 mmの油穴付き超硬ドリルADO 30Dをカメラに見せているところ。
MWM社では競合他社製の超硬ドリルをVc 80 m、1回転当たりの送り速度0.08 mmで使用し、40分の平均工具寿命が得られていました。一方、ADOドリルではVc 100 m、1回転当たりの送り速度0.12 mmまで上げることができ、工具寿命も60分まで延びます。MWM社は、頻繁に起こる工具の折損という頭痛の種を解消できただけでなく、ADOドリルを採用することで33%のコスト削減を生み出すことができました。信頼性の高い工具により、MWM社はエンジンブロックの生産性を大いに高め、一貫した品質を経済的に実現することができたのです。

左から、MWM社のプロセスエンジニア、タルチシオ・ボッタチーニ氏、オーエスジーの販売技術者ヴァルディル・リマ。ブラジルのサンパウロにあるMWM社の工場で写真向けにポーズをとっているところ。
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