OSG Phoenix のインデキサブルドリルシリーズで生産性を一段上のレベルへ
Kelly Zago | OSG Canada
穴加工の成功は、工作機械、切削油剤、ワーク固定治具、工具ホルダ、切削工具本体などのさまざまな要因によって左右されます。さらに、固有の作業環境で最適な切削パラメータを特定することは、性能を確保するうえで極めて重要です。送り速度が小さすぎると刃先の摩耗が激しくなり、工具寿命が短くなるおそれがあります。一方、送り速度が大きいと取り除かれる材料の量が増えるため、トルクとスラストが増加する可能性があります。必要以上に大きい送り速度は多くの熱を発生させ、早すぎる工具の損傷につながるおそれがあります。熱の発生は工具寿命に大きな影響を及ぼすため、その制御はどんな材料の切削においても重要な要素です。切削速度と送り速度は被削材の状態に合わせて適切に調整しなければなりません。
直径が、概して1 インチより大きい穴を開ける場合は、高速度鋼製ボディと超硬インサートを使用するインデキサブルドリルは、一般的に経済的な選択肢となります。Canada国内にあるMetalium 社のSainte-Julie 工場では、インデキサブルドリルで加工した0.625 インチから2.5 インチの大きさの穴が開いた部品が、年間25,000トン超出荷されています。Metalium 社の生産担当マネージャーNelson Albert 氏によると、1 つの部品を製造するのに最大3 週間かかることもあるといいます。Metalium 社のSainte-Julie支社には124 人のスタッフが働いており、製造所の床面積は約60,000 平方フィートです。2019 年の夏には施設を200,000 平方フィートに拡張することも計画されています。

Metalium 社はCanada の構造用鋼部品の販売会社で、鉄道、橋、建築物の建設用に大型の構造用鋼部品を提供しています。1978 年にRimousky Metal 社として創立され、その後Rapid Metal 社と名前を変えて2003 年に現在の社名となったMetalium 社は、東Canada に200 人を超える従業員を擁しています。又、Québec 州とAtlantic 州に8 箇所の支社と10 箇所の倉庫を展開しています。提供する事業としては、プラズマやレーザーによる切断、のこぎりによる切断、アルミニウム・鋼部品の販売、金属板の販売、ショットブラストマシンの販売などがあります。

2018 年の初め、Metalium 社のCanada Québec 州Sainte-Julie の地方工場では、さまざまな直径と深さの穴を年間に約100 万個開けるため、よりコスト効率の高い方法を模索していました。これらの部品の材料で最も多いものは鋼種44W、50W、50AT、50WT の鋼です。同社の目標にとって課題となっていたのは、限られた馬力の装置と切削条件の不安定さでした。

オーエスジーを採用する前、Metalium 社の切削事業は2 つの大手切削工具販売会社の製品で占められていました。そのうち1 社の競合他社製のモジュラードリルでは、交換の際に長いダウンタイムが発生し、生産が遅れてコストがかさんでいました。2 社目の競合他社製の刃先交換式ドリルでは、差込みねじがしばしば溶けるほどにまで加熱され、高価なドリルのボディに深刻な損傷が発生していました。

用途を詳細に検討した結果、OSG Canada のセールスエンジニアPatrick Lafontaineが推奨したのは、直径0.625インチから1.25 インチまでのPXD ヘッド交換式ドリルの3D/5D と、鋼製品向けの交換式ヘッドXP3425 でした。Lafontaine はまた、直径16 mm から60 mm までのPDインデキサブルドリルの3D/4D と、鋼およびステンレス鋼製品に最適なインサートXP9020 も推奨しました。

PXD ヘッド交換式ドリルは、大径穴の高能率加工用に設計されています。このシリーズはオーエスジー独自の締結方法を採用しており、ねじを使用せずに交換式ヘッドを強固に締結させることができます。PD インデキサブルドリルはユニークな刃のデザインを採用しており、高精度仕上げを施すとともにチップブレーカを搭載しています。このシリーズは、5Dまでの穴の高能率かつ安定した加工用に設計されています。PD インデキサブルドリルシリーズは、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、アルミ合金、非鉄金属などの幅広い被削材に対応した、インサートのラインナップを取りそろえています。PXD ヘッド交換式ドリルとPD インデキサブルドリルはいずれも、1938 年からの長年にわたる丸軸工具の開発で培われた経験と専門知識に裏打ちされたオーエスジーのオリジナルインデキサブルツールブランド、OSG Phoenix の製品です。


Lafontaine はMetalium 社と共同で念入りに仕事を行い、Sainte-Julie 工場の固有の設備とVoortman 社、Sector 社、Machitech 社の3 台の異なるマシニングセンタの設定を使用した、オーエスジー製ドリルの最適な切削条件を割り出しました。彼は、PXD ヘッド交換式ドリルの工具寿命を延ばすためには、発熱( 毎分回転数) を減らしてチップロードを増やすことが有効であることを発見しました。一方、直径の大きいPD インデキサブルドリルの場合は逆に工具寿命が縮むため、毎分回転数を増やしてチップロードを減らす方針を取りました。この微調整により、交換時のダウンタイムとボディの損傷に関する競合他社の課題を生じることなく、Metalium 社が求めていた工具寿命と面精度が得られました。信頼性の高い工具と適切な切削パラメータの完璧な組み合わせにより、Metalium社は性能と品質の両面において生産性を一段上のレベルへと高めることができたのです。
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