M&A を通じ、世界の航空宇宙分野のメーカ各社にむけてオーエスジーのサポートネットワーク体制をより一層強化
Max Suzuki | OSG Corporation Aerospace Engineering Manager
今後数年のうちに、中国、中東、その他の新興国では航空機の運航がより盛んになり、航空宇宙産業は大きく成長することになるでしょう。世界規模で、燃料効率は技術的に向上し、新しい航空機の需要がますます高まります。メーカ各社は、全体の費用効率を維持しながら数々の部品を短時間で改良するために、常により良い素材と加工方法を追い求めています。
先進的な航空機の需要が高まり、耐熱合金と複合材の消費が加速しています。高温時の強度と構造的な信頼性を備えるニッケル合金などの耐熱合金は、先進的なジェットエンジンで使用されます。耐熱合金に加え、新しい航空機用部品の多くには、強度に優れ、軽量な複合材料が使用されています。
35,000 フィートの上空で故障が起きれば深刻な結果となるため、航空宇宙産業ではリスクに対する許容範囲が極めて厳格です。航空機の部品は、厳しい要件を満たすことが求められています。航空宇宙分野に参入するには、認定を受けなければならないという高いハードルがあります。オーエスジーは2015 年6 月に、先進製造プロセス研究センター(AMRC)ティア1 の工具サプライヤへの昇格を果たしています。AMRC とは、世界で最先端の航空宇宙分野における研究施設を指します。オーエスジーがこの認定を得たことは、極めて厳格な品質管理のもと多彩なプロジェクトにおいて、高度な技術と能力を発揮していることが認められたことを意味します。
長年にわたり、オーエスジーは、航空機部品の加工で使用される切削工具を、全世界に供給してきました。そして、オーエスジーには耐熱合金や複合材など、加工が困難な素材を効果的に加工する技術があることから、高い評価を得てきました。さらに、技術の進化に併せて、航空宇宙産業に欠かせない新しい切削工具ソリューションの数々を絶え間なく研究開発してきました。製品の開発においては、お客様からのご意見をお伺いし、それに対応していく作業も重要なプロセスです。より良い形でエンドユーザに貢献し、確かなご意見を聞き取れるように、オーエスジーは過去2 年間のうちにSMOC Industries 社、AMAMCO Tool 社、Desgranges Holding S.A.S. 社というフランスと米国の航空宇宙関連メーカ3 社をM&Aしました。
2017 年9 月 – SMOC Industrie 社(フランス)
2017 年9 月、オーエスジーはSMOC Industries 社の株式55% を取得することで同社の筆頭株主となりました。1946 年に創業したSMOC Industries 社は、アルプス地方の中心に位置する小さな町、Tullins を拠点とするフランスのメーカです。SMOC Industries 社は創業当初より、フライス盤や旋盤用の特殊な切削工具や成形工具の開発・製造を専門的に手掛けてきました。1969 年、SMOC Industries 社はブローチの製作を開始しました。さらに1975 年、SMOC Industries 社はエアバス社のエンジンに向けてクリスマスツリータイプのブローチを開発開始しました。

そして今日、SMOC Industries 社は航空機エンジンの切削工具において欧州の主要なメーカに成長しています。SMOC Industries 社は、高い創造性、革新性、研究開発能力を誇るチームを有し、より高度な技術を着実に実現させています。革新性を追求し、飽くなき探求心を持ち、長年にわたりSafran Aircraft Engines 社とGE 社(General Electric Company)が開発したLEAP エンジンをはじめ、複数の航空機関連の研究プログラムに携わってきました。

2017 年の時点で、従業員数は100 人を超えており、最近、Tullins にある既存の3 棟のビル(製造面積:3,500 m2)に加えて、航空・工具管理施設(面積:1,600 m2)を新たに開設しました。3 つのシフトで稼働する40 台のCNC 機械類を完備したSMOC Industries 社は、あらゆる種類の円形、あるいは平坦なブローチを製造することができます。新しい工具類に加え、SMOC Industries 社は再研磨、工具の修理、工具の管理、また現場での技術支援といったサービスも提供しています。

2019 年に、SMOC Industries 社は中国に再研磨のサービスを行う施設を開設するほか、米国でもその存在感を高めていく予定です。SMOC Industries 社は、オーエスジーが誇る世界規模のネットワークをもとに、国際的なビジネスを展開していこうと考えています。
2016 年4 月 – AMAMCO Tool 社(米国)
1972 年に創業したAMAMCO Tool 社は、South Carolina 州 Duncan に拠点を置く企業です。2016 年4 月現在、同社はOSG USA の子会社として事業を運営しています。AMAMCO Tool 社は、主として航空宇宙産業と複合材産業に向けて専用の切削工具の開発と生産を手掛ける切削工具メーカです。同社が主に扱う製品に、ハンドドリル、CNC、高性能フィードドリルユニット(ADU)などがあります。同社はまた、高品質のダイヤモンドコーティングを施したルータとドリルも生産しています。これらの製品は現在、米国やその他の国々で航空宇宙分野の技術を扱い、ティア1 に属しているあらゆる大手メーカによって採用されています。

創業以来、高い品質とサービスを提供することに情熱を傾けてきたAMAMCO Tool 社の従業員数は現在100 人近くまで増えており、平均勤続年数も11 年を超えています。成長を続けるAMAMCO Tool 社は、今後12ヶ月から18ヶ月のうちに、今ある35,000 m2 の製造施設を拡張し、より広くする計画です。

AMAMCO Tool 社には、ボーイング787ドリームライナーの開発プロジェクトで革新的な技術開発に貢献した実績があります。このプロジェクトにおける成功は、777、737、およびその他の航空機の生産ラインにおける供給契約の締結につながりました。ロッキード社、ボーイング社、その他のメーカで実績を重ねつつ、より大きな規模を誇る国際的な企業の数々とし烈な競争を展開しながら、AMAMCO Tool 社は一貫して上質の工具と技術サービスを提供してきました。重要な契約を数多く獲得することで、特殊品の設計と作図ができる「唯一の」サプライヤとしての地位を獲得し、製造分野における独占的な関係性を築いてきました。

AMAMCO Tool 社はオーエスジーの傘下に入ることを喜んでおり、オーエスジーとAMAMCO Tool 社が製品やサービスを供給してきた航空宇宙産業をはじめとする数々の産業に向けて革新的なソリューションを提供することで、今後長きにわたり高い生産性を発揮できることに期待を寄せています。
2015 年9 月 – Desgranges Holding S.A.S.(フランス)
1946 年に創業したDesgranges Holding S.A.S. は、標準品や特殊品を製造している切削工具メーカで、民間および軍事用の航空機、自動車、ハイテク関連の分野において、フランス国内の大手取引先に製品を供給しています。主に、硬質材料の加工、複合材料およびスタック材の加工、ならびに切削工具の寿命サイクルに関連したサービスの提供に力を注いでいます。

フランスのAndrézieux Bouthéon Cedex に拠点を置くDesgranges Holding S.A.S. は現在、81 人の従業員と3,000m2 に及ぶ製造施設を擁しています。コンコルドからA350 に至るまで、Desgranges Holding S.A.Sはこれまでに航空宇宙産業で使用される切削工具の生産に深く関わってきました。こうした豊富な経験から、2005 年には機体の組立に使用する工具群のブランドであるNexam が誕生しました。2008 年に、Desgranges Cutting Tools 社はエアバス社のサプライヤとなりました。2015 年9 月、Desgranges Cutting Tools 社は自社の全株式をオーエスジーに売却しました。この買収により、オーエスジーは欧州で事業をさらに拡大することが可能となり、一方、Desgranges グループは製品開発を加速させることができるようになりました。

成長を加速させ、実現可能な最善のソリューションを航空宇宙産業分野のメーカにお届けするため、オーエスジーは戦略的な協力関係の構築に積極的に取り組んでいます。オーエスジーの各子会社は独自の強みを持っており、各社ならではの特殊な製品を供給しています。こうした革新性を持った新しいパートナと共に、オーエスジーはメーカ各社が航空宇宙技術の将来像を思い描けるようにサポートを続けていきます。
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