生産性の向上

ブルドーザの軌道フレーム生産にて加工時間の削減に貢献する3 枚刃油穴付き超硬ドリル

Valdir Lima  |  OSG Sulamericana

建設や採鉱など重工業分野の職場は、過酷で、危険で、ストレスが多く、男性ばかりの厳しい職場というイメージがあります。このようにネガティブなイメージのあるこの分野では、プロジェクトの進行に後れをとりながらも、適切な技能を持つプロフェッショナルを確保することに苦労しています。一般的にネガティブなイメージがあっても、重工業分野の職場は高水準の自主性があり、極めて高度で強力な機械類を製造工程に組み込んでいます。

日本のグローバル企業で、世界有数の建設・採鉱用機械類を製造しているコマツ(株式会社小松製作所)は、世界の重工業の発展に大きく寄与している企業です。1921 年に創業した現在のコマツグループは、世界の180 社を超えるグループ企業で構成されています。1975 年に、コマツの南米部門としてKomatsu do Brasil Ltda. が設立されました。

São Paulo州Suzano に所在するKomatsu do Brasil Ltda.の工場は、およそ634,000 m2 の製造面積を有し、従業員647人擁しています。この最新鋭の製造施設で、Komatsu do Brasil Ltda. は速度、安全性に加えて、コスト効率もD向上させ、重工業分野に信頼性の高い高品質の製品を供給することを目指しています。

ブルドーザは、Komatsu do Brasil Ltda. が供給している主力製品の一つです。ブルドーザとは、土、砂、がれきなどを移動させるためのドーザブレードを備えたトラクタで、鉱山、軍事基地、重工業工場、農場などをはじめとする幅広い現場において、可動性が高く、強力で、安定性の高い土木機械を必要とするプロジェクトに採用されています。

São Paulo 州 Suzano に所在する Komatsu do Brasil Ltda. の 生産工場で完成を待つブルドーザのサイドフレームコンポーネント の 1 つである軌道フレーム。

ブルドーザは、運転台、軌道、コイル軌道、フレーム、ブレード、エンジン、フード、ローラー、アイドラなど、さまざまなコンポーネントで構成されており、製造するには、CNC マシニング、溶接、粉状塗料による塗装などの専門技能を有する技術者や、自動組立ラインを備えるロボットによるサポートといった工程を組み合わせる必要があります。

コマツは、ブルドーザのサイドフレーム部品である軌道フレームの製造工程を改善する方法を模索していました。コマツの年間の生産台数は、およそ1,200 台です。

コマツのブルドーザ向け軌道フレームを生産するために、新日本工機の CNC ポータル切削加工機が採用されています。

鋳鉄で作られた軌道フレームには、直径14 mm で深さ37 mm の貫通穴が46 個存在しています。これらの軌道フレームを生産するために採用されているマシニングセンタは、新日本工機株式会社のCNC ポータル切削加工機です。BT50 工具ホルダが、工具を固定するために採用されています。コマツは当初、140 度のポイント角度を備えた、競合メーカの2 枚刃ダブルマージン油穴付き超硬ドリルを使用していました。この2 枚刃ドリルを使用したところ、工具の破損、長い加工時間、および性能の不安定性といった問題に直面しました。

(左から右へ)São Paulo 州 Suzano に所在する Komatsu do Brasil Ltda. の工場に配置された軌道フレームの前で TRS 3 枚刃油穴 付き超硬ドリルを確認するコマツの作業員、Waldir dos Santos Tavares 氏、コマツのプロセス・エンジニア、Rafael Fernando Braz 氏、オーエスジーの営業技術者、Valdir Lima 氏。

効率を倍にして生産コストを半分に抑える必要性が生じたとき、2 枚刃ドリルでは限界がありました。軌道フレームの生産責任者であったコマツのプロセス・エンジニアのRafael Fernando Braz は、コスト効率の向上のため、ブラジルと日本国内で長い間協力関係にあったオーエスジーに相談を持ちかけました。詳細な評価を行った上で、オーエスジーは直径14 mm のTRS「Mega Muscle」5D 3 枚刃油穴付き超硬ドリル(EDP# 8663400)の採用を薦めました。

TRS「Mega Muscle」ドリ 4ルは、世界初の鋼用 3 枚刃ドリ ルです。 特許取得済みの形状 が、安定的なチップの排出を可 能にします。より小さなチップ ポケットの 3 枚刃ドリルであって も同様です。TRS を採用するこ とで、コマツは加工にかかる時間を 30% も削減し、軌道フレー ムの生産に使用する工具の寿命 を 2 倍にも延ばしています。

従来の3 枚刃ドリルは、鋳鉄や鋳造アルミニウムなど切りくずが短くなる素材の加工に広く用いられていました。3 枚刃ドリルは溝(チップルーム)が2 枚刃ドリルよりも小さいため、鋼など、加工が難しい素材にはあまり使用されていませんでした。対してオーエスジーのTRS は、切りくずを小さくて扱いやすい大きさにして排出させやすくし、鋼においても理想的な性能を発揮する特許取得済みのフルート形状を伴った、世界初の鋼向け3 枚刃ドリルです。この特性により、送り速度が2 枚刃ドリルの1.5 倍から2.0 倍にも達します。さらに、120 度の等しい分割マージンにより振動のない加工が可能となり、加工硬化が少なく穴径のバラツキを抑制することが可能になりました。結果的にタッピングなどの二次的な作業に使用する工具の寿命が延びることになります。

TRS「Mega Muscle」ドリルは、2枚刃ドリルよりも 1.5 倍から 2.0 倍の 送り速度で加工できるように設計され ています。TRS は、現在、鋳造アル ミニウム、鋳鉄、炭素鋼、合金鋼、 金型鋼、ステンレス鋼、45 HRC 未満 の焼入れ鋼において、油穴付きドリル を使用しているアプリケーションに適し ています。

当初採用していた競合メーカの工具は、回転数1,800 min-1、送り速度455 mm/min、切削速度70 m/min で稼働し、1 つの部品にかかる加工時間は22 分でした。一方、TRS では、回転数が1,900 min-1、送り速度が950 mm/min、切削速度が85 m/min です。TRS であれば、1 つの部品にかかる加工時間を15 分52 秒に短縮することができます。

これは、約30%の時間短縮に相当します。工具の寿命についてですが、以前の工具では月に必要とするドリルの数は4 本でした。TRS では、月に必要とするドリルの数は2 本で済みます。つまり、工具の消費量が半分に減るわけです。

São Paulo 州 Suzano に所 在する Komatsu do Brasil Ltda. の生産工場で完成を待つ 一組の軌道フレーム。

「私たちがより高い性能を必要としたとき、オーエスジーのドリルが目の前で優れた成果を披露してくれたのです。TRS 3 枚刃ドリルは、私たちにとって重要なソリューションとして力を発揮してくれています。今後、このソリューションを他の用途にも広げていくつもりです」と、コマツのプロセス・エンジニア、Rafael Fernando Braz は語っています。

São Paulo 州 Suzano に所 在する Komatsu do Brasil Ltda. の生産工場に並べられた 一連の完成したブルドーザ。ブ ルドーザとは、土、砂、がれき などを移動させるためのドーザ ブレードを備えたトラクタです。 ブルドーザは、運転台、軌道、 コイル軌道、フレーム、ブレード、 エンジン、フード、ローラー、 アイドラなど、さまざまなコン ポーネントで構成されていま す。

重工業は、世界経済の発展と成長に貢献する重要な分野です。コマツが示してくれたように、重工業部門の職場がキツくて汚い職場といった固定観念は今や過去のものです。現代の重工業部門は、ハイテク機器が採用され、安全で力強く、信頼性の高い産業に生まれ変わっているのです。重工業部門で使用される強靭な材質や大規模な生産設備には、性能のことを考えて設計された強力な工具が必要となります。このためオーエスジーは、数々の優れた工具ソリューションを提供し、お客様各社がそれぞれの卓越した技術の実現に向けて邁進できるようにお手伝いしていく所存です。

ブルドーザ上の軌道フレーム の近接写真。ブルドーザを製造 するには、CNC マシニング、 溶接、粉状塗料による塗装など の専門技能を有する技術者や、 自動組立ラインを備えるロボッ
トによるサポートといった工程を 組み合わせる必要があります。

「私たちはオーエスジーのパートナーとしてお付き合いさせていただいていますが、期待が裏切られたことはありません。満足できる工具ソリューションを提供することに加えて、オーエスジーのスタッフの皆さんはいつも金属切削に関する最新の知識を提供してくれます。このため、私たちは切削工具や設備を最大限に活用して最適なコスト効率を達成できているのです」と、Braz 氏は語ります。