信頼への 軌跡

多機能なA タップで、車両製造におけるハンドタップ加工での工具の折損を防止

Gabriel Fernando Gialorenço  |  OSG Sulamericana

鉄道輸送は目下のところ、費用対効果に優れ、信頼性が高く環境への影響が極めて小さいことから、最も持続可能性が高い輸送手段であるとされています。貨物輸送と旅客輸送を目的に開発されている鉄道輸送の需要は、急速に広がる都市化とグローバリゼーションの波に呼応して高まり続けています。

Hyundai Rotem がブラジルのサンパウロ州アララクアラに保有してい る製造工場は、2015 年に建設されました。Hyundai Rotem Brazil に は現在従業員が 136 名おり、製造施設の総面積は 157,850.08 m2 です。

現代(ヒュンダイ)自動車グループの傘下にあるHyundai Rotem社は、世界有数の技術力と品質を誇り、鉄道システムメーカの最大手の企業に数えられています。この企業は韓国国内で運行する列車の車両の大部分を供給しており、香港、バンクーバー、フィラデルフィアといった大都市をはじめ、世界50ヶ国における鉄道システムの開発で中心的な役割を果たしています。

鉄道産業に携わるメーカは常に、インフラを強化し、サービスの質を向上させると同時にコスト削減を達成することが求められています。2015 年にブラジルのサンパウロ州アララクアラに設立された製造工場で車両を製作するHyundai Rotem社は、コスト削減の課題に直面しました。Hyundai Rotem Brazil には現在従業員が136 名おり、製造施設の総面積は157,850.08 m2 です。

ねじ加工は、新たに車両を製作する際はもち ろん、古い車両を修理する際にも必要となります。

Hyundai Rotem社は、2015 年8 月よりアララクアラの工場で列車の組み立てを行っています。Hyundai Rotem Brazil が製造する主要な製品は、鉄道輸送産業で使用される車両です。304ステンレス製の車両の場合、ドアの基礎、パネル、座席、その他の構造部品の製作にねじ加工が必要です。ねじ加工は、新たに車両を製作する際はもちろん、古い車両を修理する際にも必要となります。

Hyundai Rotem社の生産量は、供給される列車の本数、損傷した部品や交換部品の数に応じて変動します。平均的に見ると、DIN 371 規格に従い許容6H にてM4、M5、およびM6 のねじサイズごとに月間15,000 穴のねじ加工を扱っています。列車構成ごとに、およそ1,900 本のねじが使用されるといいます。ねじ加工の工程では、深さ4mm から25 mm までの通り穴の加工が必要となります。その加工では、切削速度が2,500 rpm の空気圧・電動式ドリル・ドライバを使用します。潤滑剤には、摩耗防止、焼き付き防止超高圧対応の添加剤を含む、高度に精製された鉱物油が採用されています。

列車構成ごとに、およそ 1,900 本のねじが使用されるといいます。

Hyundai Rotem社はもともと車両の製造に、ホモ処理が施されたハンドタップ(プラグ)を使用していました。これらの直線溝の汎用ハンドタップは一般的に、通り穴のねじ立てに使用されます。同社では、ハンドタップを使用した製造工程において工具の折損が絶えず発生していました。

工具の折損はコストと時間のムダとなり、部品の損傷を引き起こすことにもなることから、生産現場では重大な問題です。世界的に高まりつつある需要に応えつつ、絶えず変化する市場環境にも積極的に対応するべく、Hyundai Rotem社では、車両の生産を管理・監督しているDaniel Bitencorte 部長とPaulo Caires主任が工具の寿命と全体的なコストを改善するソリューションを求めていました。そして、オーエスジーのエンジニアがHyundai Rotem 社を訪れたとき、新しい工具のトライアルを行う機会があり、アプリケーションについて徹底した評価を行った後、オーエスジーはA-Tap A-POT M4(EDP# 48145144)、A-POT M5(EDP# 48145149)、そしてA-POT M6(EDP# 48145155)を推奨しました。

Hyundai Rotem が以前に採用していた工具では、1 本につき平均 30 穴のねじ立てを行っていました。オーエスジー の A タップシリーズを採用することで、同一の切削条件下で 10 倍の工具寿命を達成しています。

A タップは高能率・多機能タップシリーズで、多岐にわたる素材と加工環境に対応し、メーカにおける工具管理の簡素化に貢献します。A タップシリーズには、止まり穴のためのA-SFT スパイラルタップ、通り穴のためのA-POT ポイントタップが用意されています。

高速加工に対応できるよう、A タップシリーズには鋭利さを強調した独自の刃先設計が採用されています。また、粉末ハイスとオーエスジーの特許取得済みV コーティングが採用され、耐摩耗性を高めています。A タップシリーズは一般的な鋼材でその優れた性能を発揮するだけでなく、ステンレス鋼や一般構造用鋼など、難削材でもその卓越した性能を発揮します。多機能タップシリーズとして、A タップは手動の穴開け装置から最先端のマシニングセンタに至るまで、さまざまなタイプの加工装置で加工が可能です。

(左から右へ)Hyundai Rotem で工具管理者を務める Olavio Almeida、OSG Sulamericana の応用技術者である Gabriel Fernando Gialorenço、Hyundai Rotem の購買担当者である Giulia Cardoso Fiorotto、同じくHyundai Rotem の購買担当者である Lidiane Montanari、Hyundai Rotemの製造アシスタントである Marcos Moreira

以前使用していた工具では、Hyundai Rotem社は月間およそ600 本のタップを使用し、1 本のタップで平均30 穴のねじ立てを行っていました。一方、A タップで同じ作業を実施した場合、10 倍の耐久性を発揮し、300 穴の加工を行うことができました。この結果、多大なコスト削減となりました。

オーエスジーのA タップシリーズを採用することで、より安定した製造と品質管理を行えるようになりました。さらに、高品質の製品に加え、オーエスジーは迅速な対応や問題解決能力にも優れていることから、Hyundai Rotem社が世界規模で成長戦略を展開する上で欠かせないパートナーとなっています。