ADF フラットドリルの場合、センタ穴を開ける必要がないため、加工プロセスと工具の管理が簡素化します。
Siriruk Thammajit | OSG Thailand
従来より、平面加工をするにはドリルとエンドミルを使用する必要がありました。ドリルを使って中央の穴開け作業を行ってセンタ穴を開け、次にエンドミルを使って工程を完了させます。工具を2 種類使用しなければならないことでコストが高くなるだけでなく、さらにそれらの工具を交換することでセットアップに余分に時間がかかります。平面加工する場合、穴の品質を均一に保つことも大きな課題となります。特にプレートが薄かったり、不安定な切削環境では、一般的にバリの問題に直面します。
オーエスジーが先進的な技術を結集して開発した工具の一つであるADF 超硬フラットドリルは、加工に伴うこうした課題を一本で対応し、加工の効率性と品質をさらに高めています。Asia Precision Public Company Limited 社は、自社の生産工程においてADF が誇る優れた性能を最大限に活用したメーカの一つです。
1994 年に設立された同社は、タイ国内有数の精密金属部品メーカで、自動車、カメラ、圧縮機、機械類、医療、OA 機器、遠隔通信、航空宇宙をはじめとするさまざまな産業に製品を供給しています。タイのMuang, Chonburi に所在するこの会社は、冷間鍛造、精密機械加工、ギヤの製作、高周波焼き入れ、陽極酸化処理、アルミニウムダイカスト、熱処理、熱間鍛造、コンポーネントの組み立てなどに関するノウハウを保有しています。この会社が供給する製品群は、カムリング、レンズハウジング、コネクタ、ユニオンベアリング、ピストン、バルブ、ドライブシャフト、フランジ、ブラケット、ピンなどをはじめ多岐にわたります。
また、タイ国内に製造拠点を4 つ有し、それらの製造施設の総面積は合計でおよそ20,000 m2、従業員数は500 人を超えます。この会社の従業員は常に、コスト削減を図って顧客により安価に製品を供給できるよう、生産工程の改善に努めています。
新しい工具を試してもらえるチャンスは、自動車向け部品の新しいプロジェクトが発足されたときにやってきました。このプロジェクトでは、S45C の電動オイルポンプのロータ部品を加工する必要がありました。各車両用にロータ部品が1 つずつ必要で、月間の生産量は、およそ26,000 個と見積もられました。部品1 つずつに、直径10 mm、深さ28 mmの穴を2 つ加工する工程がありました。この工程に使用されたマシニングセンタは、Yamazaki Giken YM-850 でした。当初、センタ穴あけのために直径7.5 mmの超硬ドリルを使用し、それに続き2 枚刃で直径10 mm の超硬エンドミルを使用して穴を完成させることでこれらの部品を加工していました。
加工前のS45C のロータ部品1 つずつに、直径10 mm、深さ28 mm の溝を2 つ加工する必要がありました。 加工後のS45C のロータ部品AsiaPrecision Public Company Limited 社は当初、ドリルとエンドミルを使用してこれらの部品を加工していました。ADF フラットドリルを採用して以来、工程を統合することで加工にかかる時間を大きく削減することに成功しています。
オーエスジーが1 本で多様な用途に対応する直径10 mm のADF-2D の使用を勧めた際、この会社のシニアマネージャであるPrasit Mulgunee 氏は作業効率の改善になるとの期待を抱いてこの工具の採用を決定しました。
従来のドリルとは異なり、オーエスジー株式会社のADF 超硬フラットドリルは、センタ穴を作ることなく、傾斜面や曲面への加工が可能です。ADF 固有のバランス形状と刃先により切削抵抗が抑えられ、切りくずの発生量が少なく、穴への挿入も安定して行え、バリの発生も最小限に抑えられます。オーエスジーが開発したEgiAs コーティングを採用することで、工具は高い耐熱性・耐摩耗性を備え、長寿命化を実現しました。

傾斜面や曲面への座ぐり加工、半割れ穴加工や薄い板での加工など多様な用途で使用可能です。この工具は、炭素鋼、合金鋼、硬度35 HRC までの合金鋼、鋳鉄など、一般的な素材の加工に適しています。

ADF は、Asia Precision Public Company Limited 社で、用途に合わせて加工の工程を省くことができますので、センタ穴開けの作業は必要ありません。ADF の耐久性についても、他社品の工具と比較試験が行われています。この試験では、他社の工具が加工できる穴数が200 であるのに対し、ADF が加工できる穴数が500 であることが判明し、ADF には他社品の2 倍の寿命があることが実証されています。

「ADF は、従来の手順に比べて非常に優れた性能を発揮することが実証されました。これで、Asia Precision Public Company Limited社は2 つの作業のうち1 つを省くことができます。ADF の採用により工具の交換にかかる時間が削減できたことで、加工にかかる時間が50% 近く短縮しました。これにより、お客様は今まで以上に満足していただけるでしょう」
と、OSG Thailand の営業部員、Siriruk Thammajit は語ります。
精密金属部品を専門に製造しているメーカとして、Asia Precision Public Company Limited社は新しい加工ソリューションを開発し、日々高まる顧客の期待に応えています。ADF は、Asia Precision Public Company Limited 社にとって、品質の向上、加工時間の短縮、工具管理の簡素化を目指す上で欠かせない存在となっています。
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