セラミック エンドミル

耐熱合金の高能率加工

太田幸一 オーエスジー株式会社 エンジニア(エンドミル開発部門)

セラミックエンドミルは、航空機とエネルギーの産業で広く採用されているニッケル基合金の高能率荒加工用工具として開発されました。ニッケル基合金は、高温に強く、熱伝導率が低いため、切削が困難な難削材として分類されています。インコネル718 のような材料は、温度が700℃を超えると軟化する傾向があり、切削しやすくなります。セラミックエンドミルは高温に強く、そうした被削材に適しています。

セラミックエンドミルは、乾式の機械加工を行う荒加工のための工具です。セラミックエンドミルを高速切削条件で使用することで切削熱を与え、ニッケル基合金が強度低下する温度域で加工することで、高能率荒加工を実現しています。

オーエスジーのセラミックエンドミルは、高温域で高速加工が可能なセラミック材質を採用し、インコネル718 のような加工が難しい材料で、超硬エンドミルを超える高能率荒加工を実現しています。このシリーズには、CM-RMS外周刃タイプとCM-CRE 底刃タイプの2 種類があります。

CM-RMS 4 枚刃外周刃タイプ のセラミックエンドミルは、側面 切削、溝切削、ヘリカル加工、コン タリング加工、およびランピング加工に適してい ます。CM-RMS 6 枚刃外周刃タイプのセラミック エンドミルは、側面切削、ヘリカル加工、および コンタリング加工に適しています。

超硬エンドミルと比較して、セラミックエンドミルは高温域での硬度に優れています。しかし、抗折力に対しての耐性が、セラミックエンドミルは超硬エンドミルの半分以下であるため、不適切な切削条件で利用すると意図せず折損させてしまいがちです。不意の折損が生じる可能性を最小限に抑えるため、オーエスジーのCM-RMS は最適な溝形状を特徴とし、スムーズな切りくず排出を可能にしています。図1 と図2 に示すようにネガ形状が刃先剛性を高め、長寿命を実現します。CM-RMS は用途に合わせて4 枚刃、もしくは6 枚刃を選択できます。

CM-CRE 底刃タイプのセラミックエンドミルは、平坦部の多い加工だけでなく、タービンブレードの加工など3 次元加工にも卓越した性能を発揮します。太径仕様により、加工中の折損リスクが低減され、コーナR 部を大きく設定することで3 次元加工においても大きく切り込みがとれるようになりました。さらにCM-CRE は再研磨が可能で、使用部を切断し再生することができます。

セラミックエンドミルは、このような高温の加工条件などに耐えることができない従来の超硬エンドミルよりも優れた切削速度と長寿命を実現します。難削材のミーリング加工に高い生産性を求めるメーカにとって、セラミックエンドミルは究極的なツールソリューションであるといえるでしょう。

セラミックエンドミルの詳しい情報