効率と耐久

優れた特性を1つに集約ボタンインサート式エンドミルPRC SS を導入することで、ステンレスを荒加工する時間を短縮することができます。

Yukai Zhang  |  OSG Shanghai

Sichuan Nick Seal Manufacturing 社は、シール製品の加工と製造を専門とする上場企業です。長年にわたりオーエスジーのパートナー企業として、オーエスジーの切削工具を使用しています。彼らは、EX-SUS-GDS / GDRドリル、WDOドリル、EX-SUS-SFTタップ、A-SFTタップなど、オーエスジーの切削工具を高い頻度で採用しています。

Sichuan Nick Seal Manufacturing社が生み出す製品の多くは、ステンレス製です。オーエスジーと共に穴開け作業に取り組みながら、SUS304 を使用したフローチャネルの製作という課題に直面したのでした。荒加工は、工程の中でも最も難しい作業です。フローチャネルのスロットの幅は20 ～20.3_mm で、スロットの深さは20 mm。すべてのワークに、スロットは10 個存在します。相談を受ける前、Sichuan Nick Seal Manufacturing 社は20D HSS 3 溝エンドミルを使用し、水溶性切削油剤でスロット加工をし、Vc 7.5 m/min（S 120 rev/min）、Vf 40 mm/min（Fz 0/11 mm）、ap 6.6 mm、ae 20 mm の条件で稼働させていました。これらの条件では不十分であると感じていたSichuan Nick Seal Manufacturing 社は、加工効率を改善するためのより良いソリューションを探し求めていました。

そこでオーエスジーはこのアプリケーションを徹底的に検証した結果、20D OSG Phenix PRC ストレートシャンクタイプの丸駒カッタを推奨しました。ストレートシャンクタイプ、ボアタイプ、ねじ込みタイプのあるOSG Phenix PRCは、高度な多用途性を誇る一連のボタンインサート式エンドミルとフェイスミルで、コンタリング加工に使用することができます。PRC は、切込み量に基づいて4 コーナー、まはた8 コーナーのインサートを選定することが可能なインサート回転ノッチを特徴としています。PRC の切りくずポケットの形状は広く、切りくずの排出が安定的に、かつトラブルなく行われ、さらに、その大きなボディ逃がし形状が効率的な3 次元加工を支え、3 次元加工が主流の金型の製作に理想的です。

オーエスジーはSichuan Nick Seal Manufacturing社に対し、PRCのストレートシャンクタイプで、軽量性と高い効率性を誇るPRC SS を推奨しました。インサートについて、オーエスジーは、8 コーナータイプのXP2040 グレードを推奨しました。これは、SUS304 の高速加工における高精度、長寿命、安定性を約束するものです。

当初、Sichuan Nick Seal Manufacturing 社はこの提案に対して躊躇していました。なぜなら、彼らにとってスローアウェイ工具はあまり馴染みのない存在だったからです。PRC SS の性能について自信を持っていたオーエスジーは、Sichuan Nick Seal Manufacturing 社にトライアルツールを提供しました。

そして、トライアル期間中に得られた成果は、Sichuan Nick Seal Manufacturing社の期待を大きく上回るものでした。PRC SSは、Vc 120 m/min（S 1,900 rev/min）、Vf 1,500 mm/min（Fz 0.4 mm）、ap 0.8 mm、ae 20 mm を達成することができました。加工にかかる時間は、300 分から50分へと大幅に改善し、それぞれのインサートコーナーで10 個のスロットを仕上げることができました。このアプリケーションにおいて、8 コーナーインサートの寿命はおよそスロット80 個で、これはワークピース8 個分に相当します。加工にかかる時間と工具の寿命が大幅に改善したことで、Sichuan Nick Seal Manufacturing 社は非常に満足しました。

過去10 年のうちに、オーエスジーはその製品群の幅を広げ、ソリッド工具からスローアウェイ工具までを扱うことで得た経験を、OSG Phoenix シリーズという形に反映させることに注力してきました。Sichuan Nick Seal Manufacturing社の事例に反映されているように、OSG Phoenixシリーズの優れた性能は現場で生かされています。