滞りのない作業と安全性の確保を約束するXPF 転造タップ
Valdir Lima | OSG Sulamericana
作業環境で死傷事故が起きやすく、大きな危険を伴った業界とはどのような業界だと思いますか?労働統計局(BLS)によると、建設、鉱業、運輸、製造といった業界がトップにランキングされているといいます。特に製造業界では、複雑な機械類や大規模で重量がある部品、鋭利な刃物、高速で回転するコンポーネントを扱いますが、これらすべてが作業環境に大きなリスクをもたらしています。BLS によると、製造現場で起きる人身事故のおよそ40% が物体との接触に関連しており、原因として最も多いといいます。2011 年に発生した114,327 件の事故を対象とした調査結果によると、人身事故の原因として過労が第2 位に数えられ、24% を占めています。
Valtra 社では、付加価値サービスとソリューションを供給することに加え、従業員と顧客の健康と安全を最優先事項としています。AGCO 社のグローバルブランドであるValtra 社は、農業用トラクタの製造とサービスを提供している大手企業です。Valtra 社のトラクタは世界75 か国以上で販売され、その信頼性、多用途性、耐久性が高く評価されており、その会社が北欧発祥であるということでも良く知られています。Valtra 社のトラクタは、極めて厳しい気候条件にも耐え、極めて厳しい作業条件においても最高の性能を発揮できるように設計されています。
Valtra 社は毎年、個々のニーズに特化したトラクタを生産しており、その台数は24,000 台に上ります。従業員数は、全世界でおよそ2,100 人を数えます。Valtra 社は南米でその評価を高めており、サンパウロのMogi das Cruzes に同社が構えるおよそ140,832 m2 の面積と930 人の従業員を抱える製造拠点から南米全土に製品を供給しています。

穴のねじ切り加工が求められるSAE1020 の鋼製燃料タンクを製作する際、Valtra 社は、作業時に排出された切りくずがワークの周囲に巻き付き、工具の経路を阻む切りくず巻き付きによるタップの破損という問題に直面しました。これらの燃料タンクは、小型、中型、ならびに大型のトラックに向けて作られるものです。Valtra 社は、これらのパーツをこれまで20 年以上にわたり製造しています。深さ34 mmの止まり穴がワークごとに35 個存在し、許容差の条件は6HX となっています。

Valtra 社は、ねじ山の付近に溶接点を持つパーツにねじ切り加工を施すために、HSSE M16 DIN 376 TiCN コーティング付きスパイラルタップを使用していました。その問題が生じると、機械を停止させなければならず、これにより生産に滞りが生じ、会社に余分な費用がかかる結果となっていました。さらに、ワークの素材に影響が及ぶため、問題が生じるたびに従業員は手作業で工具と切りくずを除去することが必要で、スパイラル状の切りくずは彼らに深刻な安全上のリスクをもたらす結果となっていました。工具管理を行う他社がこの状況の改善を断念したとき、Valtra 社の技術者であるJeferson Barreto がオーエスジーに問い合わせをしたのでした。

スパイラルタップを使用する代わりに、オーエスジーはV コーティング付きHSS-Co M16 DIN 376 S-XPF 転造タップを導入することを提案しました。すでに競合他社が転造タップを試し、失敗に終わっていたため、当初、Valtra 社はこの提案に乗り気ではありませんでした。しかし、焼き入れした素材に完璧にねじ加工を施す能力を発揮することで、XPF は信頼を勝ち取ったのでした。
XPF は、早い速度でもより長い寿命を約束する低トルク設計を採用し、独自の方法で加工されています。そのV コーティングは、耐摩耗性も極限まで高めます。他の転造タップと比較してトルクを最大で50% も抑えることで、XPF は最高で35 HRC を有し、直径がM45 までの素材のタッピングを行うことが可能となっています。

試験では、競合他社のタップとXPFを、切削速度20m/ 分、398 rpm、送り速度796 mm/ 分に設定しテストしました。成功の度合いは、工具の摩耗状態と安定性で比較しました。XPF は、1 日でタンクを10 個完成させましたが、その間、摩耗や高トルクによる問題は一切生じませんでした。試験はおよそ1 年に渡り続けられ、トルク、品質、工具の寿命というあらゆる面を観察するフォローアップの手順が毎週実施されて、Valtra 社の品質管理部門による承認が下されました。XPF は、M16 とM12 のサイズ範囲で試験を完了し、競合他社の記録であるタンク50 個相当の工具寿命を抜き、その7 倍にあたる350 個相当の工具寿命を達成しました。競合他社の工具の場合、切りくずを除去するために何度も取り外さなければなりませんでした。XPF の場合、切りくず除去の手間もなく、首尾一貫して優れたねじ山の品質が維持されました。工具寿命が飛躍的に伸びたことに加え、工具の破損と切りくずトラブルという問題が完全に解消されました。

「オーエスジーがもたらしてくれた技術サポートにより、私たちは自社の工程にとって有効な新しいソリューションに出会うことができました」と、Valtra社のアプリケーションエンジニア、Jeferson Barreto は語ります。「コスト上の利点に加え、AGCO 社が優先事項として掲げているのが、私たちの従業員の安全を確保することです。このパートナーシップにより、私たちはより収益性が高く、安全な工程を手に入れることができました。」
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