XPF 転造タップにより、デフハウジング内での工具の破損頻度が低下
Marco Túlio Bianchi Furtado | OSG Sulamericana
自動車業界の中でトラックのシェアは大きくないですが、原料や製品を輸送する最も経済的な方法の1 つであることには疑いの余地はありません。乗用車と同様に、大型トラックは特に維持費、燃料効率、よりきれいな排気ガス、安全性の改善という点で、この100 年で大きく進化しました。こうした要求を満たすため、大型トラック部品のOEM 企業と製造業者は製造工程の効率化、品質、安定性を改善するため、常に新しく革新的な問題解決策を探し求めています。

写真提供: Scania 社。
1891 年に設立されたScania AB 社は特に、大型トラック、バス、長距離バスといった商用車の分野ではスウェーデンでトップクラスの製造業者です。また、ディーゼルエンジンも製造しており、各産業や海洋での利用に加えて発電分野でも輸送問題の解決策を提供しています。スウェーデンのセーデルテリエに本社を置き、社員は約5,600 人です。Scania社の公式発表によると2015 年時点で、100 か国以上に営業サービス拠点をもち、全部で45,000人の従業員が働いています。
Scania 社は世界中に製造工場と組み立て工場を所有し、その中でもブラジルの工場は組み立て、体製造、現地に適した車両の供給を専門とします。Scania 社は1957 年に、ブラジルでの事業を開始しました。およそ60 年後、世界規模のScania グループの主要子会社の1 つとしてブラジル事業部が発足しました。ブラジルにあるScania 社の製造工場は、大サンパウロ都市圏とも呼ばれるサンベルナルド・ド・カンポに位置し、20 年以上にわたってオーエスジーの南米事業部OSG Sulamericana と協力関係にあります。Scania 社のブラジル製造工場では、駆動装置とデフハウジングを製造しており、いくつかのモデルのトラックの組み立てや、バスのシャーシの製造も行っています。この工場では毎年、合計30,000 ~ 50,000 個の製品を製造しています。
デフハウジングは駆動輪の速度を制御する差動ギヤ列のカバー部材であり、Scania 社のブラジル製造工場で10 年間製造されています。デフハウジングは低炭素、高マンガンの鍛鋼製です。1 つの筐体にめねじ加工を必要とする8 つの穴を開けます。穴の直径は16.8mm、ねじ部の長さが35 mm、公差が6H であり、貫通穴と止り穴の両方を含みます。
Scania 社のブラジル製造工場はデフハウジングを毎年、約2,736 個製造しており、合計20,000 個以上の穴にねじ加工する必要があります。以前は、Scania 社のGROB BZ1000CNC マシンで可溶性油剤(5% ~10%)を使用し、寸法M18 × 2.5 の切削タップでねじ加工していました。Scania 社がスパイラルタップを使用していたときは、工具が頻繁に破損し、歩留まりが低く、その結果、生産性が落ちていました。使用上の責任者である工具分析者ダニエル・プラド氏は工具寿命を延ばし、工具の破損を防ぎたいと考え、オーエスジーブラジルのアプリケーション専門家マルコ・トゥリオ・ビアンキ・ファータドに、転造タップでめねじを加工できないか相談しました。
Scania 社のサンパウロ工場では10 年にわたりデフハウジングを毎年約2,736 台製造しています。 XPF転造タップに切り替えるまで、Scania社はタップの破損に悩まされていました。
ファータドは使用状況を詳細に調べた後で、オーエスジーのXPF 転造タップ(OIL-S-XPF M18 × 1.25 DIN376)と、下穴加工用の特殊な段付きドリル16.75 ×20 mm を提案しました。オーエスジーのXPF は、転造タップ技術の新たな進化を表しています。このシリーズは、他の転造タップと比べてトルクを最大50 パーセント減らすように設計され、35 HRC までの材料に対して最大M45 の直径でタップ加工することができます。低トルク設計のため、高速でも工具寿命が長くなっています。オーエスジー独自技術のV コーティングを施すと、耐摩耗性をさらに高めることができます。XPF には、オイルホール付きとオイルホールなしがあり、標準シャンクとロングシャンクがあります。

転造タップでの経験をもとにプラド氏は、推奨品であるXPF を採用し試用しました。最初の部品を加工してすぐに、ねじが以前より良好に仕上がっていることを確認できました。最初の部品を製造した後、XPF の摩耗は無視できる程度でした。タップが頻繁に破損するという問題を最小限に抑えるため、以前はパラメータを非常に小さくしていました。切削摩耗については目立った問題もないため、ファータドは、ねじ加工の回転を210 rpm から390 rpm に上げて生産性をさらに高めるように提案しました。

試用期間を終えてみるとXPF は、部品あたりのコストを43 パーセント改善し、タップ加工時間を46 パーセント改善しました。XPF は以前の他社製切削タップに比べると最初の工具費が高くなりますが、特に工程を安定させ、工具の破損を最小限に抑えるなどあらゆる面で優れていることを実証できました。この使用例では、工具の破損を減らすことが重要です。以前の切削タップは1 つの工具で平均45 部品を加工することができ、再研磨による再生が5 回まで可能でしたが、再生した工具の歩留まりは大幅に低下して、加工可能なデフハウジングは10 台だけとなり、切削摩耗や破損により工具を頻繁に交換する必要がありました。それに対しXPFは1 つの工具で平均部品を加工することができ、マシンから取り外す必要があるのは自然に摩耗した場合だけです。XPF は明らかに、費用効率と生産性の面で以前の他社製切削タップより優れています。さらに重要なことは、XPFをスピンドルに装着すれば常に、品質規格を満たした満足のいく結果を達成できると、Scania 社のオペレータが十分に確信を持てたことです。
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